4.最速

今日は体育館が使えないから


部活は学校の外周10周で終わりになった


暇だから芝生に座って


グラウンドで練習している運動部を


ぼんやり眺めていた


聞こえるのは


金属バットの音と男子の低い掛け声と


音楽室から下手な吹奏楽部の演奏


いきなり頭を軽く叩かれた


痛!


見上げると笑った君が覗き込んだ


『帰るね!』


えっ!マジ?


獲物を捕らえる豹のような素早さで立ち上がる


一緒に帰るから!


走りながら叫ぶ


ソッコー着替えて来るからちょっと待ってて


自分史上最速の猛ダッシュ


走れエロス


いや、メロス


今なら


ウサインボルトにも勝てるかもしれない


いや


勝ってる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る