10月(その3)

   

「足腰を鍛えたい」という口実は何だったのか。

 母の一周忌が終わっても、夕方の長距離散歩の習慣は続く。それどころか、さらに散策範囲が広くなった。

 徒歩で行くにはさすがに遠すぎる、という場所にある公園。そこまで自動車で出かけるようになったのだ。


 前ページでもリンクを張った2022年11月30日の近況ノート。そこに掲載している四枚の写真のうち下段の二枚が、この公園で十一月に撮影したものだ。


https://kakuyomu.jp/users/haru_karasugawa/news/16817330650185406713


 大きな池のある公園であり、ゆっくりならば池の周りをぐるりと回るだけで三十分、急げば十五分くらい。

 さらに丘になっている散歩コースがあり、そちらも三十分か一時間くらい。

 池から繋がっている小川のせせらぎも散歩コースになっていて、それに沿って二十分ほど歩けば公園から出てしまうのだが、公園の外にも水路はずっと続いている。これが前のページで出てきた「地名を冠した遊歩道の水路」であり、つまりその遊歩道の水路の東端が前のページの「小さな池のある公園」、西端が今回の「大きな池のある公園」という位置関係だ。


 この「大きな池のある公園」へ行き始めた当初は、丘の散歩コースもよく歩いたし、水路の遊歩道を歩き続けて「小さな池のある公園」まで往復することもあった。そこまで往復したら、だいたい二時間くらいかかっただろうか。

 わざわざ自動車で出かけて散歩するのに、自宅から歩いて行ける場所まで行くのは何なのだろう、と少し不思議な気持ちにもなった。


 そんなに歩いたら犬も疲れるはずだが、緑豊かな自然の中を歩くのはとても楽しいようだ。また「くるまに乗ってお出かけ」というのも面白いらしく、九月のところで記したドライブシートにおとなしく座るのは自動車に乗り込む時だけ。自動車が動き出すと私の膝の上に移動してきて、そこで立って窓の景色を眺めている。

 不安定な格好なので時々滑り落ちそうになって、心配になるほどだ。人間だってバスや電車では「運転中はつり革や手すりにおつかまりください」とアナウンスされるのに、そのような「動くものの中だから危ない」という感覚は、犬にはないのだろうか。


 先ほど『この「大きな池のある公園」へ行き始めた当初は』という書き方をしたが、子犬がどんぐりを拾い食いしてしまうので、最近はそうした木々の多い場所には近づかないようにしている。そのため池の周りを回るだけになった。一周では短すぎるので二周の時が多い。


 子犬が「くるまに乗ってお出かけ」をとても気に入ってしまい、これが一番の楽しみになったので、このドライブ散歩は習慣になり、依然として続いている。父も大乗り気で、特に最初は一週間毎日だった。しかしそれでは私が体力的にも時間的にもキツイので、半分に減らしてもらった。

 それでも「夕方頻繁に自動車で散歩に出かける」というのは、犬にとってかなり贅沢な話ではないだろうか。

   

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