なにがどうして異世界トリップ?

プロローグ~異世界トリップして一か月

―1か月が過ぎた。

 俺はまだこの安全地帯(?)にいる。



 俺、こと山田彼方(かなた)、17歳高校男子はつい一月程前に異世界トリップ(?)した。

 なんで俺がここにいるのかはさっぱりわからない。

 失恋して、山に登り、山頂についたら真っ白い光に包まれて気が付いたらここにいたのだ。

 おそらく異世界なんじゃないかと思うのだが、誰かが迎えに来てくれるわけでもないし、神様の声とかも未だ聞こえてこない。

 不明の情報ばかりで申し訳ないがこの安全地帯から一歩でも出ようとすると角のあるイノシシとか、尖った角を持つシカとかが突進してくるのだからしょうがない。探検したいと思ってもできないのだからまだしばらくはここにいるしかないのだ。

 ここはだだっ広い草っ原で、真ん中に椿(?)の木のようなものが十五本ぐらい生えている。草原の周りには竹林が生い茂っているが、一部普通の木が生えているところもあり、時々そこから恐ろしい獣が入ってくる。


「ブヒイイイイイイイイッッ!!」


 今日も唾を吐き飛ばしながら角の生えたイノシシのようなものがこの安全地帯に攻めてきた、と思ったら入口付近でこけた。木が生えている辺りにはソースと焼肉のタレをたっぷり撒いてある。


「ピギイイイイイイイイイ!!」


 イノシシもどきは断末魔の叫びを上げ、泡を吹いてこと切れた。

 さて、今日もおいしいごはんが来たから頑張って解体しますか……。

 毛を剥くのがたいへんだから湯でも沸かそう。



 いったいいつになったらこの安全地帯から出ていけるようになるのやら。

 いつのまにかすぐ側に来ていたイタチ(?)たちに見守られながら、最初の頃よりは少しだけ手際よくイノシシもどきを解体していくのだった。





ーーーーー

新連載です。カクヨムコンに参加します。

なにがなんでもハッピーエンドです。

本日中にもう何話か上げる予定です。よろしくー

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