第12話︎ 協力プレイ

「ユウヒ、私が手前にいるモンスターをやるから後ろのほうのやつ任せてもいい?」


「うん。手前は任せたよ。」


メアリーは手前のほうを飛んでいたモンスター攻撃しだした。


私はスキルを使って一気に後ろのほうにいたモンスターを攻撃した。


空中にいたため、地上からでは届かない。


跳躍を使って高く飛びあがり両方の剣で1匹ずつ。


すぐに空中ジャンプで別のモンスターまで詰めて倒す。


これを繰り返している。


すぐに自分の分のモンスターは片付いた。


しかしメアリーは高いところを飛んでいるモンスターに苦戦しているようだった。


一度壁をけって空中ジャンプの使用回数をリセットする。


跳躍スキルと超加速を合わせてメアリーのほうによる。


「メアリー、大丈夫?」


「うん、なんとか。でもやっぱり私じゃ高いところがどうしても届かない。」


洞窟の天井は結構高い。


いくら大きな大剣だからと言って上まで届くわけではない。


メアリーの身長は結構小さいからなおさらだ。


「じゃあ高いところは私がやるよ。低いところだけ任せてもいい?」


「了解。任せた。」


「任された。」


そういって私たちはこぶしとこぶしを軽く合わせた。


すぐに私はまたスキルを使って空中に跳ね上がる。


空中にいたモンスターは3匹。


もうコウモリ退治は慣れたものだ。


近づいてコウモリの首を刎ねていく。


そうしてササッとモンスターを倒した。


どうやらメアリーのほうもちょうど今終わったようだった。


「メアリーお疲れ。助けてくれてありがとう。」


メアリーは少し照れたような表情を浮かべながら。


「別にいいよ。」


という。


そのあと苦笑いのような表情を浮かべて


「こうなっちゃったの私のせいだから......。」


「え?」




メアリーから聞いた話だ。


どうやらメアリーは素材を集めるために私がメアリーと離れてからすぐにここへ向かい始めたらしい。


メアリーは超加速等の移動系スキルを持っていなかったのでゆっくり歩いてここまで来たようだ。


そうしたらいつの間にか夜になっていた。


メアリーが欲しかった素材は山脈の上のほうの洞窟にできる『魔力結晶』というものらしい。


魔力結晶といってもこの1層でとれるのは小さなかけらばかりらしいが。


これをこの洞窟の入り口で見つけたから採掘をしていたらしい。


30分ほど採掘しただろうか。


目の前に結構大きめの結晶を見つけた。


それをとろうとしたのだが、どうやらいつの間にか雨が降ってきていたようで、その雨は相当強かった。


付近の地盤が弱っていたのだろう。


結晶をとるためにつるはしを入れた瞬間、入り口が崩落してしまった。



「......、そりゃ災難だったね。で、そのあとはどうしてたの?」


「つるはしで入り口を掘ろうとも思ったんだけどまた崩落したらいやだったからとりあえず奥に進んでみたの。」


「うん。え、ワープで戻ろうとか考えなかった?」


「ワープ?なにそれ。」


「うそ!!ワープ機能知らないの!?」


といっても私も初めは知らなかったのだが。


「え?うそ......、ワープ機能......。」


どうやら存在を本当に知らなかったらしく、メアリーは膝から崩れ落ちた。


その様子がちょっと面白くて笑いそうになったけどさすがにこらえた。


少し落ち込んだところでメアリーは顔をあげ、


「まあでも知らなかったおかげでユウヒを助けられたからまあいいよ。」


「はい。まじでありがとうございました。」


メアリーさん、マジでかっこいいっす。


私本当に死を覚悟していたからね。


あそこでメアリーが出てきてくれなかったらどうなっていたことか......。


「で、さっき聞こうと思ってたんだけど、その大剣は何?あなた生産職だよね。」


「あ~、そうだね...、2層に上がるときとか素材を集める時に戦闘になることとかってやっぱりあるわけじゃん?」


「うん。まあそうだね。」


「その時に戦えなかったら大変じゃん。」


「たしかに。それで死んじゃったら大変だよね。」


「このゲームでは死ぬと1日ログインができなくなってしまう。」


「だから生産職は第二職業で戦闘系を選ぶことができるんだよ。」


「なるほど、。て、ええ?2つ職業選べるって......。」


「あー!!でも第二職業ってスキル獲得できないんだよ!だから私が攻撃系のスキルを手に入れることはできない。しかも通常の戦闘系職業よりも攻撃力とかが下がるんだよ。」


まあ確かに戦えなかったりとかしたら生産職の人はみんな第1層にとどまることになっちゃうもんね。


アイテムを買うためにいちいち1層の村に戻らなきゃいけなくなるのは不便すぎるな。


「なるほどね~、確かにそれなら仕方がない。それにしても小っちゃい子が大剣握ってるギャップ可愛いね。」


「私VRMMO自体はこのゲームが初めてなんだけど、普通のネットゲームでは大剣ばっか使ってたんだよ。」


「なるほど。なんかこれいうのも失礼かもだけど普通に大剣使いにすればよかったんじゃない?」


「う~ん。確かにそれはそうだね。まあ大剣に飽きていたってことはあるかな~。結局大剣使ってるんだけどね。」


確かにどのゲームでもずっと大剣ばっかっていうのは面白みに欠けるのだろう。


「そっか~。で、話は変わるけどこの後どうする?メアリーはワープで帰って大丈夫だろうけど私は次の村に行きたいんだよね。」


「あ~、ここまで来るの結構時間かかるもんね。」


「そうなんだよ~。だからここで戻りたくないっていうのはあるんだよね。」


「う~ん......、じゃあさ!私も次の村に行くよ!!一緒に行こ!!」


「お~!!いいの!?やった~!!一緒に行こう!!」


「よし決まり!じゃあとりあえず奥のほう向かおうか。」


メアリーはアイテムボックスから松明を出して火をつけた。


そうして2人は洞窟の奥のほうへ歩み始めた。

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