第14話派生スキル魔女の加護獲得
その夜は僕の人生で最良の日と呼ぶにふさわしいものになった。
涼子さんの体の中は温かくて僕を優しくつつみこむ。
僕はこの人の体に夢中になった。
羞恥心などかなぐり捨てて、気持ちよくなるところを彼女に告げるとそこをていねいにしかも執拗にせめたててくれる。
あまりの快感に僕のストッパーのようなものは外れ、何度も女の子のような声をあげる。
僕が如実に反応すると涼子さんはうれしそうに微笑む。
何度も涼子さんの体に果てては愛し合う。
五回目まで数えていたが、その後は面倒になったので数えるのをやめた。
最初の相手を涼子さんに頼んで本当に良かった。僕は心底そう思った。
人とつながるのがこれほど気持ちいいとは。
肉体的にもそうだが、精神的にも満たされる。
性的な行為は人間のもっともプライベートな部分をさらけだす。ほかの人はどうだが知らないがそれはよほど信頼できる人にしか見せることはないしできない。
僕は涼子さんのことを完全に信頼している。
それは僕が意識を取り戻してから約半月ほどの涼子さんの懸命な看護をしてもらった間に培われたものだ。
おしっこしているのを見られたこともあるしね。涼子さんにたいしては何も隠すことはなく自分の全てをさらけだすことができる。
優しい大人の涼子さんはそれを全て受け止めてくれる。
もう何度めかもわからないほど愛し合い、尽き果てた僕は涼子さんのほっそりとしたでも温かい体を抱きしめる。
はー気持ち良かった。
あまりの快感に全身が軽く震えて、けいれんしているようだ。
涼子さんも荒い息を吐きながら僕の頭をなでる。
「とても気持ち良かったわ。生きていて本当に良かったって思えるぐらいにね」
涼子さんは言い、事後の余韻を楽しむかのように僕に大人のキスを繰り返す。
僕は文字通り精魂尽き果てているが、そのキスがあまりにも気持ちいいので答えてしまう。
涼子さんが気持ちよくなってくれて本当に良かった。独りよがりになっていないようだ。
「豊久さんは優しいのね。今の男性は女の人を気持ちよくさせようなんて思わないんだから」
熱い吐息混じりに言い、涼子さんは僕の耳たぶを甘噛みする。
「だってその方が楽しいでしょう」
僕は答える。
お互い気持ちよくならないと楽しくないじゃないか。
でも今の社会の男性は希少種となり、女性への気遣いなどはなくなっているという。
あの所長の少年のようなのが男性のデフォルトだというのだ。
僕がていねいな物腰でよくありがとうと言うのが今の女性にとっては珍しくてそれだけで好感度を爆上げしてしまうという。
冬だというのに汗だくとなった僕たちは毛布を何枚も重ねて、裸で抱きあいながら眠りについた。あまりにも疲れたので夢などみることもなくすやすやと眠りについた。
朝になり目覚めると涼子さんが僕の顔をじっと見つめている。
ピロロンッ!!
あれっまたあの音が頭のなかに響くぞ。
何か
白に聞いてみよう。
それにしても涼子さんの顔はきれいだ。
切れ長の瞳で鼻筋も通り、唇は薄くて口角は自然にあがっている。女優だといってもいいぐらいの美貌だ。
あれっさすがに年齢的に目もとにシワなんかあったのにそれが消えてるぞ。
それに白いものが多く混じっていた髪の毛が今や黒々と艶がある。
頬も紅潮していて潤いがある。
「なんか若がえっちゃったみたい」
うふふっと少女のように微笑む。
僕たちは軽くシャワー浴びたあと、服を着て食堂に向かう。
キッチンからはいい匂いがする。
麻季絵さんが朝ごはんをつくってくれているようだ。
トーストにベーコンエッグ、ポテトサラダにオニオンスープ。
まるでホテルの朝食みたいで豪華だな。
「おはようございます、豊久さん」
麻季絵さんは僕にあいさつする。
「おはよう麻季絵さん」
朝のあいさつ代わりにそのデカ尻をさわさわする。
「朝ごはんつくってくれたんですね、ありがとう麻季絵さん」
僕は言う。
「そんな当然のことですよ♡♡」
お尻をさわっても喜ばれるなんていい世の中だな。
「あれっ涼子さん、雰囲気変わりましたね」
涼子さんの顔をまじまじと見つめて、麻季絵さんは言う。
「そうね、豊久さんに若返らしてもらったのよ」
意味深なことを言い、コーヒーを二人分淹れる。涼子さんはブラックで僕のはミルクと砂糖たっぷりの甘いものだ。
僕がズズッとコーヒーをすすっているとほかの三人が起きてくる。
白なんかはふわあっとあくび混じりだ。
僕と涼子さんを交互に見て、にやにやしだす。
「あらっ童貞卒業おめでとう」
にやにやと下品な笑みで白は言う。
「えっそれどういうこと」
巨乳を揺らしながらあやの先生は慌てる。
「くっ昨夜なにか騒がしかったのはそうなんですね」
悔しそうにみゆきさんが言う。
「まあまあ落ち着いてよ、二人とも筆下ろしが涼子さんならまあ納得だわよ」
白は言う。
あやの先生とみゆきはじっと涼子さんのきれいな顔をみる。
涼子さんはどこか勝ち誇った顔をしている。
「あれっ涼子さん、すごく肌艶よくありませんか」
あやの先生が言う。
「それに髪も艶々で真っ黒ですよ」
みゆきさんは思わず涼子さんの髪を触る。うっすごいキューティクルうらやましいと言う。
「これはもしかして」
白は僕の手を握る。
「お兄ちゃん新しい派生スキルを獲得したね。スキル名は魔女の加護。ジャック先生の魔力の一部とアクセスできたのね。精神的に劇的になにかあったのね。効果は対象者の個性にあわせて新たな特殊な能力に目覚めさせる。でも条件はけっこう厳しいわね。お互いが深い好意をもつこと。そして心を通わす行為をすること」
タタタッと涼子さんのもとにかけより、その手を握る。
「ステータスオープン!!」
白が叫び、フムフムと虚空を見つめる。
「涼子さんの能力は身体強化。若く見えるんじゃなくて実際若くなってるわ。ボクの
見立ててでは二十代後半ぐらいになってるわ」
白は言う。
「ぐはっまさかの同年代!!」
さらなるショックを受けたあやの先生は倒れる。
忙しい人だな。
麻季絵さんの美味しい朝ごはんを食べたあと、僕とあやの先生それに麻季絵さんで買い出しにいくことになった。昨日麻季絵さんがもってきた食料は今日の朝ごはんできれいさっぱりなくなったのだという。
それに僕の服も買いたいし、日用品もいろいろ買いたい。
買い物に二人を誘うととても喜んでくれた。
あやの先生は機嫌を取り戻してくれたようだ。
あやの先生と麻季絵さんが準備をしている間に僕はSNSを確認する。
僕のプロフィール画像を投稿しただけなのにもうバズっている。いいねやリプも千件単位でつけられている。DMもかなりたまっている。
そのほとんどが好意的なものだ。
DMの一つに気になるものがあった。
「僕も男の子です。応援してます」
それは短いものだった。
アカウント名は六番目の十六夜とあった。
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