③滅亡した世界の最後の一人に転生してしまった

青峰輝楽

プロット

◯参考作品

『転生したらスライムだった件』


〇ログライン

『異世界転生したら滅亡した世界にたった一人だったので、現在を起点にタイムリープを繰り返して世界を救う』


◯世界観

千年前、異世界アルトラスには7つの種族の国々が栄えていた。

人間の王国アカトリアは聖王国とも呼ばれ、創世神ツクヨの庇護の元、若き聖王と聖王妃の統治下で平和を享受していた。

魔族の帝国ヘギンドラ、エルフの里アルル、ドラゴンの谷バルルヒ、獣人の森カルマロダ、精霊の泉ナーダ、鬼人の渓谷ドーアンと合わせて七国連合は、かつては争いもあったものの、百年の間、戦もなく民の暮らしは豊かで穏やかだった。

しかしアカトリア歴999年。ヘギンドラの魔帝は突如禁呪の封印を破り、他国へ侵攻した。平和を貪っていた世界は脆く、次々と滅ぼされていった。そして禁呪の暴発により、魔帝国も焦土となった。



〇あらすじ


冴えない高2のユウマは、学校帰りにトラックに跳ねられ異世界転生する。女神から『救世の力』『大魔導士』『剣聖』などのスキルを得て、大国の王子として転生すると告げられたユウマは異世界で無双できると大喜びだったが、目覚めてみると洞窟のような場所で、辺りに人の気配もない。

脳内に語り掛ける女神の声によると、この世界は千年前に魔王に滅ぼされたという。世界中が灼熱の炎に焼かれる中、最後に残った聖王国の王と王妃は、女神に願い、胎内の赤ん坊の時を止め、次元の狭間に封印した。魔王が千年の寿命を終えた後に封印が解ける仕組みだ。そして今がその時。目覚める赤ん坊の精神が白紙では、いくらスキルがあっても使えないし、世界を蘇らせたいという意思も持てない。だから異世界から呼んだ魂を赤ん坊の中で蘇らせたのだ、と。

目覚める前に7歳まで成長していたユウマだが、慌てて洞窟から走り出ると、眼下にはただただ緑の森が果てしなく広がっていた。焦土となってから千年、世界は植物と動物だけの世界となっていた。

『救世の力』で世界を蘇らせるようにと女神に言われるが、ユウマは孤独と絶望に苛まれて死のうとも考える。だが、転生者はこの世界で自殺はできないのだった。

女神によると、世界には人間、魔族、エルフ、ドラゴン、獣人、精霊、鬼人の7つの国があった。全て滅んでいるが、各国にはユウマのように封じられて眠る者がおり、ユウマの『目覚めの力』を使えば眠りから覚める筈なので、仲間にし、過去へ戻ればその国を救えるかもしれない、という事だ。

ぼっちから抜け出せる可能性があると知ったユウマは希望を取り戻し、世界を救う事を己に誓うのだった。

女神が与えた自動人形フアナだけを相棒に、ユウマは魔力と武力を磨く修行をする。転生した王子の身体は肉体も脳も超人級であった為、ユウマは様々な能力を使いこなせるように成長した。

そして、最初に訪れたドラゴンの里で、竜族の姫レピナの封印を解く。レピナは最初は自分の封印を解いたユウマを一族の仇と思い込むが、誤解がとけた後は慕ってくる。

しかしツンデレなのでユウマの寝首をかくと言い続ける。一方ユウマはエルフ推しなのでレピナの好意には気付かない。

そうして過去への旅を繰り返し、遂には七国を滅亡から救う事に成功する。

六人の仲間と共に、魔帝ウルマーを倒さねばならない。激しい闘いの末に仲間を失いながらもウルマーに勝利する。

その時初めてウルマーの真意が明らかになる。ウルマーは真の敵・・によって世界が滅ぼされる世界を幾度も体験しては過去へ戻っていた。己の力では世界を救えないと悟った彼は、一度世界を自らの手で壊す事によって世界を守り、焦土から現れる救世主の誕生に望みをかけたのだった。

ウルマーの孤独は自分の孤独より深かった事を知り、ユウマはウルマーの遺志を継ぎ、異空間に消えたレピナを取り戻し、世界を救う為に旅立つ。



◯主要キャラクター


・ユウマ・ワカセ(若瀬遊馬)


主人公。前世は高校生17歳。トラック死してこの世界に転生した。

全て平均的な男子で性格はよくもなく悪くもない。無難に生きる事を望んでいたが、死に際して実は自分はヒーローになりたかったのだと気づく。

転生させると言う女神を疑い色々と予防線を張っていくうちに、自分が世界を救うヒーローとしてその為の力を持って転生させると聞かされる。おまけにイケメン確実の王太子。チート転生で大楽勝モードの人生が用意されていると確信して大喜び。

だが白い霧を抜けて目を覚ますと、王宮で生まれる筈が何故か洞窟の中。傅いている筈の家来や侍女の姿はなく、英雄の父王も聖女の母親もいない。傍にいるのは猫の人形だけだった。

自動人形フアナの説明により、女神の言葉は嘘ではなかったが、肝心の世界は千年前に滅びて、地上で生きているのは自分だけだと聞かされ絶望する。

孤独に苛まれ、当たり前のように生きてきた、他人のいる世界のありがたみを知り、涙を流しても戻れない。死んでこの世界から離れたくても、転生者は自殺できず、殺してくれる人間もいない。

心が壊れるかと思い始めた時に、フアナに新しい情報がダウンロードされた。

滅びた世界の旧国にはそれぞれの種族の勇者が封印されている筈であり、ユウマのチート能力だけがその封印を解ける可能性がある。勇者を伴えば、その国の聖地跡から過去へ跳べる。そこで力と知識を使えば、その国を滅亡から救えるかも知れない、と知る。

真の孤独を体験したユウマは、また人々が溢れる世界に暮らしたいという思いから、世界を救う事を決意する。


・レピナ


竜族の姫。17歳。金髪に金目でやや長身の美少女。戦士であり炎を操る。

早とちり・ツンデレ・情に脆い。

ブラコンでもあり、唯一の肉親だった兄王バルドを誰より恵愛していた。その為、自身の封印を解いたユウマを兄の仇と早とちりし、襲い掛かってくる。

誤解はすぐに解けたものの、素直になれず、ユウマからは凶暴な竜と恐れられる。


・フィローナ


エルフの姫。19歳。青髪に緑の瞳の細身の美少女。水の魔道を極めている。

一見淑やかだが気性は激しい。エルフ推しのユウマはなかなか内面に気付かない。


・ロードック


鬼人の王。17歳。赤髪に赤目で剣と斧の二刀流を操る戦士。直情型だが義理人情に厚い。


・オルド


獣人の王。55歳。渋い武闘家のおじさま。


・ラダ


精霊の女王。幼女の姿だが155歳。


・ザカリー


魔族の王子19歳。魔帝ウルマーの弟。銀の髪に碧い瞳、冷静沈着な美青年。精神系の魔道が得意。兄ウルマーの行動を止められなかった事を悔やんでいる。


・フアナ


自動人形。猫型ロボット(?)。ユウマの修行内容に応じて姿を変形する事が出来る。会話は堅苦しいが自我を持ちユウマの力になる事だけを望んでいる。


・ウルマー


世界を滅ぼした魔帝。滅亡後は自身を封印していたが、七王最後の封印が解けた時に自動的に目覚め、立ちふさがる。冷酷非道に思われていたが、すべては、滅亡のループから世界を救う為の行動だった。





◯物語構成



・全章構成 6章


プロローグ~1章


トラック事故で死んだユウマは、女神と会話をし、チートな転生を期待するが、目覚めるとそこは生きる者のいない滅亡後の世界だった。


2章


孤独に苛まれるユウマだが、フアナの持つデータから、かつての世界の姿を垣間見てひとときの慰めを得る。女神により、与えられた力によって世界を救う手段があると知り、フアナと修行をする。


3章


最も近いドラゴンの谷に向かうユウマ。無人の世界だが、千年前のトラップが作動しユウマを襲う。苦難を乗り越え、姫の封印を解くも、姫レピナは目覚めると同時にユウマを仇と思い込み襲ってきた。

炎を操る竜人の攻撃に苦戦するユウマだが、以前に見た在りし日のドラゴンの里のイメージが活きて辛くも勝利する。レピナは勘違いを謝罪するが、素直になれず、人間なんか、と悪態をついてしまう。


4~6章


竜人の長であるレピナの力により、千年前のドラゴンの谷にタイムリープする二人。

世界の危機を訴えるも、平和を貪ってきた民は誰も信じてくれず、レピナは姫の偽者とされて二人は投獄されてしまう。

ユウマは救世の力を使う為の宝剣を用いるが、その力は弱かった。6人の仲間を得ないと宝剣の完全な力は引き出せないのだった。また、レピナの力も本来のものとは遠い。

里を急襲してきたのはウルマーの第一の部下サレス。牢が破壊され脱獄するも、力を出せずにサレスに追い込まれる二人。

だがその時、この時代のレピナが現れた。この時代のレピナは真実を悟り、二人のレピナは融合し、そして力を出せるようになった。この光景を見た竜人たちは、ユウマとレピナに助けを求める。助けを求められる事が、ユウマの救世の力を引き出す鍵だった。

サレスを撃破し、ドラゴンの里の平和は守られた。久々に大勢の人に囲まれて、守った喜びに満たされるユウマ。

だが、ここから他の国へは、結界が阻んで移動する事は出来ない。また、滅んだ千年後に戻り、次の仲間を目覚めさせる旅に出なければならないのだった。





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