第234話 先日よりも…

 せっかく考えた普段着コーディネートをあっさりと覆され、俺はとぼとぼと正装に着替え直す。

 まったくもって考え損である…。


 しかし…


 しかし着替え直しながら俺はピコーンと思う。ミリアリーゼさんも正装じゃね?と…。


 アイアリーゼさんの正装すらもまだ見たことは無い、がソレはソレである。ミリアリーゼさんの正装を見たいと俺は思ってしまった。いや…見るしかないまである。

 個人的な正装なのか、エルフとしての正装なのかは知らないが、とても楽しみである。


 ふふん~…と少し機嫌の良くなった俺は、サクサクと着替え、客室から出る。ジロリ…とゼバスさんに上から下まで見られたが…


「…では応接室に案内致します。参りましょう」


 ふぅ、どうやらオーケーだったようである。…まあ、正装に着替えてダメ出しされても困るのだけれど…。


 客室のあった領主邸の二階から応接室のある一階へ移動。ゼバスさんに連れられて階段を降りていると…


「あら、ユーリウス君?」


「っ!?ミリアリーゼさんっ!」


 ちょうど領主邸に到着したミリアリーゼさんと鉢合わせる。俺はシュパッと『縮地』でミリアリーゼさんの前へ行き、ギュッとミリアリーゼさんの手を取る。


「ご無沙汰しています、ミリアリーゼさん。相変わらずお美しい…」


「ウフフ…ありがと。でも一週間くらいしか経っていないわよ?」


「俺には十分『久しぶり』の範囲です。しかし…」


 俺はミリアリーゼさんの姿を改めて見る。決して厭らしい視線にならないように気を付けながら…だ。ホントだよ?


 髪はアップに後ろでまとめ、そのうなじは艶かしい。パッと見、変形のチャイナドレスに見える衣装はミリアリーゼさんのスタイルを強調し、その魅力を余すことなく醸し出している。

 ああっ!?そんなに深く前スリットだとっ!?


 ゴフッ…と吐血しそうなのを我慢し、俺は言う。


「失礼…間違えたようです」


「…間違え?」


「はい、貴女は先日よりもさらに美しい」


「あら、お上手ね。でも、良いの?そんなこと言って…。姉さんに聞かれたら…」


「大丈夫です。俺は二人共しあわ」『スパアァァアンッ!!』「…痛いじゃないか、シーバス。何をする?」


 別室に案内されていたはずのシーバス(ハリセン装備型)が現れた。…というかだ、そのハリセン…マジで痛いのよ?俺の防御力を突破してくるとか、なんなの?


「落ち着いてください、ユーリウス様」


「………ちっ。………ミリアリーゼさん、失礼しました。今日は御一緒ということで、よろしくお願いします」


「ウフフ…残念。続き…ちょっと聞いてみたかったわ」


 な、なんですとっ!?そ、そそそ、それはつまり俺と結「違いますよ」…おい、入ってくるんじゃないシーバス。

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