第221話 『無効試合』

 結果を報告しよう。

 ざっくり言って『無効試合ノーコンテスト』である。………ざっくりし過ぎだって?…そうだな。


 まあ、俺と国王による絶戦…舌戦は今言ったように『無効』である。俺が褒美として錬金施設が貰えることになったのはもちろん有効だ。

 そして国王は………わからん。

 あの後、俺たちは国王の寝室をすぐに出ていったからな。ついでに団長のオッサンもだ。オッサン、近衛なのに…。


 ざっくりじゃなくても、こんな感じである。ざっくりで良かったじゃん?


 そして俺たちは迎えに来てくれた時と同じ馬車に乗り、宿へと送って貰っていた。


「だからって団長殿が護衛につかなくても良いんじゃないですかね?」


「念のため…というやつさ。君には味方も多そうだが、どうも敵も多そうな感じがするからね」


「………そうですか」


 言っても団長のオッサンも魔人と俺が戦っているのは見ていたからな…。俺の強さは知ってるだろうに…。


「………で、本音は?」


「ふっ…陛下のところから追い出されたからな…。暇になっただけだ…」


「でしょうね」


 近衛騎士団の団長も冗談を言うんですね…そう思いました。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~


「ありがとうございました」


 宿に到着し馬車から降りる。振り返り、団長のオッサンにお礼、ペコリと頭を下げておく。


「陛下にはなにか………まあなくても構わないか。ではなユーリウス=フォン=ゼハールト。機会が有ればまた…」


「出来れば勘弁願いたいですね」


「ふっ…正直な奴だ」


 こうして団長のオッサンは城へと戻っていった。まあ「君とはまた会うと思うがな…」とか変なフラグを建てていったのは許さんがな…。


 さて…国王のせいで二日連続の登城…うむ、精神的に疲れた。今日のところはゆっくり体と精神を休めて、明日はまた王都散策でもしようかっ!…とその前に…


 …シーバス、気付いてるか?


「お客様のようですね」


 …だな。俺たちが着くまで気配を絶っていたようだが、これは…。


「この間、国王の兵が排除した者たち…とは別口でしょうね」


 ああ、殺気をガンガンに出してきてやがる。恐らくヴァーチェの闇ギルドと繋がりのある連中とか、かな?

 だが、まあちょうど良い…。


「………ユーリウス様?」


 こっちはちょっとストレスが貯まってきてたからな…。


「あぁ…陛下との舌戦でちょっと負けそうになっていましたしね…」


 うるさいよシーバス…アレは『無効試合ノーコンテスト』だし、続けてれば俺が勝ったからっ!


「………そうですね」


 ちょっとシーバスっ!?何、その「はいはい…」みたいな表情はっ!?言いたいことがあるなら聞こうじゃないかっ!


「………それより来ますよ」


 ちっ…まあいい。コイツらにはちょ~っと憂さ晴らしに付き合ってもらうとしようかっ!

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