第218話 VSセツナ=フォン=エクシア①

 魔人討伐(最終的には討伐ではなく捕縛になったが…)の褒美の件も話がまとまり、俺は速やかに国王の寝室を後に「ちょっと待て、ユーリウス=フォン=ゼハールト」………出来なかった。


「………………」


 部屋を出ようと踵を返した瞬間に掛かった声。確認するまでもなく国王陛下なのだが、俺は『ギギギ…』と陛下に向き直し、沈黙とジト目をお見舞いする。

 まあ、黙ったままでいるワケにもいかないのですぐに返事はするのだが…


「なんでしょうか陛下…」


「まあ、そう嫌そうな顔をするな。ちょっと聞きたいことがあるだけだ」


 その陛下の言葉に俺は『キュピーン』ときた。ここにきてスキル『刻を視る者ニュータイプ』が初めて『らしい』効果を発揮したのだ。

 そして俺は思う…ここが勝負処だと。

 相手は『変革者イノベイげふんげふん』…『対話』をする者だ。相手に取って不足は無いっ!一瞬の隙も見せるな俺っ!


「はあ、なんでしょう?」


「貴様………いや、君には婚約者はいたりするのか?」


 来たっ!というか直球過ぎだろう。…だか俺にはさっき手に入れたばかりの取って置きの理由がある。余裕で回避…いや迎撃だ。


「陛下…先程申した通り、私は将来冒険者として活動していく予定…いえ、していきます。婚約者などの話は聞いたことはありませんが、話が有ったとしても同じ理由でお断りするでしょう(訳:つーワケなんで諦めてください。はい、この話は終わり終わりっ!)」


「ふむ…だが冒険者はいつかは引退するものだろう?その時の為に婚約、結婚はしていても良いんじゃないか?(訳:これは未来の話だ。俺は俺が生きるために戦うっ!)」


 ちっ…一撃では決めれないか。…ならっ!


「とは言っても冒険者業は二十年から三十年…もっと長く現役の方もいます。そんなに待たせるのは本人のためにも良くありません…(訳:今のとこ、結婚する気は無いっ!早く諦めてっ!)」


「先のことはわからんものだぞ?いや待て…それならば、同じパーティーになれるような実力のある者ならどうだろうか?(訳:俺の今の姿を見て何も感じんか?貴様も察しているのだろう?早く諦めるのはお前の方だっ!)」


 ぐうっ!?…なん…だとっ!?見事なカウンターを放ってきやがった。

 確かに戦えるのであれば話は変わってくる。そして国王の言うであろう女性はおそらく戦える。国王をぼろぼろに出来るくらいに。

 だが…まだだ。…まだ終わらんよ!


 こうして俺と国王陛下の舌戦が続く中………騎士団長のオッサンとシーバスは若干死んだ目で俺たちを見守って…いや、呆れていた。

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