第208話 ………はっ?

 戦闘を終えて、魔人とのやり取りを国王陛下と以下の方々に任せ、一度謁見の間から退室。

 待合室でシーバスとぼちぼち帰るかぁ…なぁんて言って城を出ようと城内の長い廊下を歩いていると、肩をガシィッと掴まれた………いや、捕まれた?

 ギリギリ…ミシミシ…と俺の肩を掴んでいるのはセツナ=フォン=エクシア。この国の国王様である。


「国王陛下…何か?」


「ユーリウス=フォン=ゼハールト………お前を呼んだ用事が、全然っ、全くっ、少しもっ、終わってないのだが…」


「………で、ですよねぇ…」


 まったく笑っていない国王陛下を見やり、そう答えるしかないのだけれど…。そもそも、何の用件だったんだっけ?


「王女の件ですね…」


 ………知ってるし分かってるよ。

 くそぅ…魔人の件で有耶無耶になったと思ったのに駄目だったか…。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~


 謁見の間とは別の部屋へと連れていかれ、大きなソファーへと座る。対面に国王がいるのだが、良いのだろうか…。


「まずは魔人の件だが…」


 一緒に付いてきた宰相らしきオッサン…ではなく、国王自らが言う。


「助かった…と言っておこう。何もせず俺が戦っていれば、被害はかなり大きかっただろう…」


 …だろうな。

 結界を展開しない限り魔人との戦闘なんて、謁見の間だけでなく、城の大部分がエライことになっていたのではないだろうか…。

 俺の結界で助かったのなら、もっと感謝しても良いのよ?


「魔人の処遇については…」


「酷い扱いじゃなければあとはお任せします。まあ…今は良くてもそのあと…」


「分かっている。扱いについては、国王である俺が責任を持つ…」

「っ!?陛下…」


 一緒にいた宰相らしきオッサンが何かを言おうとするが…


「黙れ…この件には口を出すな。お前の知恵は必要になるから、とりあえず口を出すな」

「………………かしこまりました」


 国王が何か呟き、オッサンも納得したようだ。何を言ったのかは微妙に聞き取れなかったが…。


「それで良いな、ユーリウス=フォン=ゼハールト…」


 俺は無言でコクリ…と頷く。

 これ以上引っかき回してもしょうがないしな…国王の方でいろいろと動いてくれるのはありがたい。

 あと面倒だし…。


「………………で、だ…」


 あぁ…、やっぱり本題はこれからなのか…。


「………………はい、何でしょう?」


「ユーリウス=フォン=ゼハールト………リリアーナのことはどう思っておるのだ…」


 ………………はっ?

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