第199話 開始と解消
「………………何故止める、ユーリウス=フォン=ゼハールト」
「ソレは駄目なヤツです」
理由を言ったところで…著作権だ、パクりだ、などと言ったところで、国王には何のことか分からないだろう…。
何なら、俺が頭おかしい認定されるまである。しかし…しかしである。上手く納得させられる理由も見つからない…。それで『ソレは駄目なヤツです』」は無理がある。
「………………」
「………………」
俺と国王の間に一瞬の沈黙が流れる。ゴクリ…俺は生唾を飲み込み、国王の次の言葉を待つ。
「『トランザ…』」「止めてっ!!」
「だからっ、何故止めるっ!?」
「駄目なヤツって言ってるでしょうっ!」
………くそぅ、被せたうえに思わずツッコんでしまった。あとで不敬罪とかに問われないだろうな?
そんなことになったら、ここにいる全員の記憶が無くなるまで殴るしかなくなるが…仕方ないよね?
「(いやいや、全然仕方なくないです)」
シーバスは黙っててちょうだい。
「………………」
「………………」
そして再び訪れる沈黙…。だが今度は国王がすぐに口を開いた。
「ならばどうする?伯爵級魔人が相手では奥義をつかわなければ俺には厳しい相手だ…かといってこのままにはしてはおけない…。貴様に何か出来るとでも言うのか?」
むむっ?その流れなら…
「ご要望であれば御見せします」
「ならば、やって見せるが良い…」
無理な説明をするより、魔人を倒す。よっぽど分かりやすくて早い。
「…お任せを」
国王セツナ=フォン=エクシアは練り上げていた魔力を霧散させ、玉座へと戻る。
玉座に座り、俺を見る瞳は期待なのか疑惑なのかは分からないが…
「悪いな魔人さん…お前の相手は俺になった」
俺はボキボキと拳を鳴らし、魔人の前に立つ。
それにしてもこの魔人。今までのやり取り中、ずっと待っていてくれたけど…意外と良い奴?
「(違うに決まっているじゃないですか…)」
分かってるよ。
お前が牽制してくれていたんだろ?助かった。
「ふんっ、国王からガキに相手が替わったところでさほど変わりはない。どのみちここにいる奴らは皆殺しにするのだからな」
「ふむ…心が広い、と思いきや、台詞は小者っぽいな。本当にお前、伯爵級なの?」
…さて、いつもの『煽り』開始である。
まあ、煽る必要は全く持って無いのだけれど、国王とのやり取りで溜まったストレスの解消くらいはしても良いよな?
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