第194話 そういえば…言っていたな。

「国王様、すみませんが私に覚えがあるとしたら、王女より誘われた生徒会入りの件を御断りしたことだけです。しっかりと理由を申し上げたはずなのですが…。その件………が良くなかったのでしょうか?」


 分からんものは分からんっ!なのでハッキリと分からないと言うことを伝えるのが大事だろう…。百聞は一見にしかず…違うな。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥…だったか。

 そして…


「貴様ぁっ!私の息子との決闘の件を忘れたと言うかっ!!」


 えっ?そっちっ!?国王とは別の方向から怒声が聞こえた。


 …というか、俺は今、国王に向かって話をしたんだけれど、それを遮っちゃっていいの?

 怒声が聞こえた方に向けた視線を国王に戻すと、俺に何かを言おうとして止まっちゃってる国王がいた。

 完全に「この振り上げた拳はどうしたら良いん?」みたいな感じになっちゃってるんですけど…良いの?


「聞いているぞユーリウス=フォン=ゼハールトッ!!貴様、決闘の手袋を避けたそうだな………それも二度もっ!!」


『ザワリ』


 えっ?ザワつくのそこっ!?国王との話を遮った方が問題じゃないっ!?


「さらに我が息子を足蹴にし、踏みつけた後は放置したらしいなっ!それが貴族の子弟のしていいことかっ!!」


 お、おおぅ…恥ずかしげもなく息子の恥態をぶっちゃっけたな…。でも…ソレで俺が悪いのだと、悪なのだと印象付けたいのだろうけれど…


「おい…そこの喧しいオッサン」


「オッサ…貴様ぁっ!男爵家の五男風ぜ」「黙れ」「ぐっ…」


 クックックッ…全てバラした上に、ぼこぼこにしてやろう。誰に喧嘩を売っているのか、思い知らせてやる。


「(悪い顔してますね…)」


 ちょっとシーバスは黙っててくれませんかね?


「おいオッサン…公爵家縁の伯爵家だが何だか知らねえけど…随分と話を端折ってくれるじゃないか。全部話せよ………知ってるんだろ?」


「くっ…」


「ぐっ…とか、くっ…とか…。確か自称騎士の息子もそんな風に問い詰めたら唸っていたな。そんなところだけ親子そっくりで、質問には何にも答えてもらってないんだけど…?」


「………………」


「唸るのすら止めて黙りか?だから息子と同じことはしなくていいっつってんだけど?」


 詰めるぜえ…超詰めるぜえ。………あ、ちょっと楽しくなってきたかも?


「はぁ…なら、ここで、あの時にあったこと、全部話してやろうか?………どうする?」


 何なら本人とか呼んでくれても良いんだよ?………そういえば王女が言っていたな。確か…王女の婚約者候補なんだっけか?

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