第183話 しておけば良かったのに…。
エクシア王国の王都エクシア。
その貴族区近くに建つ貴族御用達の宿を国王に用意され、そしてスイートルームに宿泊中である。さすがに貴族御用達だけあって、食事も美味しかった。美味しかったが…家のエルディアの作る料理の方が少し上かな?
お風呂も完備していたが温泉宿ではないので風呂は内風呂。それでも造りは豪勢な感じだったので、ちょっと優越感に浸る。
………温泉か。
そういえば聞いたこと無いな…。俺も今まであまり気に止めていなかったけれど。多分、存在はするだろうから探してみたいな…。何処かの都市とか、その近くに在ったりすると良いな…。
今度、時間を作って情報を集めよう。
温泉に思いを馳せつつ、その日は眠りに就く。お布団と枕が凄い良かったです。さすがスイートルーム。
翌日、気持ち良く目を覚ました俺は、朝食後に王都の散策を開始。もちろんシーバス付きである。御者さんには馬のお世話とソレ以外は自由行動で良い旨を申し付けて、お金を渡しておく。
帰りもよろしくね。
出店の串焼きを片手にテクテクと歩く。デュナメスの時と同じように、今日のところは軒先を冷やかすに留める。
本番は謁見の後だな…。
「昨日は何か有りましたか?」
「んにゃ、何も無かった」
「となると…」
「ああ…接触してくるとしたら今日しかないワケだ…」
「一番心配なのは…」
「ハニートラップだな」
「わかってるじゃないですか。しかし…」
「うむ、まだ成人してない俺にソレは無いだろう…残念だ」
「その思考になるユーリウス様のほ」「何だよ?」「間違えました。その思考になる人物はある意味、どうかと思いますよ?」
「………それは暗に俺も貶していないかねシーバス君?」
「………………いえ」
「その間は何かねシーバス君?」
「特には…」
くっ…シーバスめ。だがまあ大きく否定も出来ないが…。
昼食を済ませ、謁見の際に必要そうな物を買う。と言ってもハンカチや身に付ける派手になりすぎない簡単なアクセサリーなどだ。あまり付ける趣味は無いのだけれど、必要最低限は…とのこと。
この辺りは店員さんやシーバスの意見を参考にする。
「ふむ…こんなもんか?」
「そうですね」
「よし、シーバス、宿に届けてもらうようにしてくれ。どうやら…」
「お客様………ですか?」
「そのようだ…」
『マップ』を確認すると敵意を示す赤い光点で囲まれていた。
謁見前日に狙ってくる辺り、何を考えているのかね?おとなしくハニートラップにしておけば良かったのに…。
ホントに残念である…。
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