第158話 響く咆哮
エクシア王国第三王女であるリリアーナ様に呼び留められ生徒会への勧誘を受けたが、丁重に御断り差し上げた俺は、何故か王女の取り巻きの一人に絡まれている。
王女様や他の取り巻き連中の様子を見ている限りでは、絡んできている奴は困ったちゃんのようである。それならば…と、俺は嬉々としてソイツを絶賛詰めている最中である。
さあ、もっと詰めて行くぞ!
「リリアーナ王女…この人、何で俺に絡んできているんですかね?王女の用件を御断りした時点でお話って終わりなんじゃないんですか?」
「っ!?貴様っ、王女にな」「お前が喋らねえから王女に聞いているんだろっ!?ちょっと黙ってろっ!」「なっ!?」
声を低くし、睨みつける…。絡んできているソイツは言葉を無くすも、ギリリ…と歯を食い縛り睨み返してくる。
王女様も「えっ!?また私に振りますっ!?」と言って慌てているのが見える。アタフタしてキョロキョロしているのが可愛い。
「…で、アンタは何をそんなに睨んでるんだ?」
「くっ…」
「さっきから、くっ…とか、うぐっ…とかなんなんだよ…。俺はさっきから言いたいことがあるなら言えと…俺が知らないことだったら教えろって言ってんだけど…?」
ま、今さっき「ちょっと黙れ」とも言っちゃったけれど…。
「………………」
黙り…か。まったく面倒くさい奴である。
「リリアーナ王女…駄目ですよコイツ。何を求めてんのか知らないですけど、聞いても答えない。なのに文句みたいなことだけは言いやがる。こんなの周りに置いておいたら王女が変な目で見られ兼ねないですよ?」
「き…ききき、貴様ぁっ!!私を愚弄するかっ!!?」
王女に話していたら、キレられた。いや、本当のことしか言ってないと思うんだけど…。
真っ赤な顔をして、青筋を浮かべ、凄い目で睨んできている。
まったく怖くはないし、むしろ俺はちょっと引いてるんですけど?あと王女含めてお仲間さんも引いてるよ?気付いてる?
というか…大声出すから人が集まって来ちゃっているんだけど…。面倒だな本当に…どうしようかな…。などと考えていると、ソイツは制服のポケットから白い布…手袋か?を取り出す。
「ユーリウス=フォン=ゼハールトッ!!騎士を愚弄するとは許さんっ!!決闘だっ!!!」
大声でそう叫び、先ほど手にした手袋を投げてきた。
『ヒュッ』
『サッ』
『………パサ』
「………………」
「………………」
俺はサッと避け、手袋は俺の横を通り過ぎ床に落ちた。数瞬の沈黙の後、俺と目を合わせたあとにわなわなと震え…
「避けるなあああっ!!!」
その叫びは学校中に響いたという…。
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