第106話 ユーリウスVSエリウス②
「ユーリウスのアレも久しぶりに見るな…」
いつの間にか、俺の隣にいた義祖父さんは家族の方に移動していた。
この野郎、俺にこんな残念な長兄長女を押し付けやがったな?
本来なら義祖父さんと義母さんが説得するなり、言いくるめるなりをしなければいけないのに…。まあ、あの人の話をまるで聞かなそうな感じじゃあ無理もないか…。
それに昔の自分たちを見るようで恥ずかしいんだろうな…。
「まさか『使徒』…なのか?」
「いいえ、お兄様。庶子が『使徒』のはずがないがわ。恐らく幻影魔法の類いじゃないかしら…」
『使徒』とか止めてくれ…と思わないでもないが、そう見せるための『天使化』なので別に構わない。
まあ、その本人は無神論者なんだけどな。
「幻影魔法…そうか幻影魔法か。そうだよな、庶子が『使徒』なワケないよな。ふぅ………危うく騙されるところだった。ユーリウスっ!お前の策は失敗だっ!」
「私たちを簡単に騙せるとは思わないことねっ!」
いや、今「騙されるところだった」って言ってたばかりだよ?ほら、みんな聞いてたよ?みんな「アイター~」ってやってるよ?
「そのこけおどしの力…我が剣で今すぐ撃ち破ってやろうっ!覚悟するがいいっ!」
覚悟するがいいって、さっきも言ってなかったっけ?何回覚悟しなきゃいけないんだよ…。
「そして喰らえっ!今っ、必殺のっ!」
え?初撃が必殺なの?というかそれ、必ず殺す気満々じゃないですか、ヤダ~。
長兄エリウスはそこまでの台詞を吐いていながら、なにやら今、自身の剣に魔力を集束している。
今から溜めんのかよっ!?あと集束、
えぇ………コレ、待つの?今、攻撃しちゃダメ?………俺がちらりと家族の方に顔を向けると、全員が「駄目駄目、ちゃんと待ってあげて」とジェスチャー。
マジかよ…面倒くせぇぇ…。
というか…当初の深刻そうな雰囲気は何処へやら、と言わんばかりに、みんな普通になっていて一安心していいのか?と思わないでもないが…。
それだけ長兄長女の残念っぷりが分かったのか、俺の強さを信頼しているのか…どちらか分からんな。
まあ…その両方…かな?
そして義兄エリウスの魔力の集束が終わる。持っている剣は『バババババ…』と紅い魔力を纏い、放出している。魔法剣の一種なんだろうが…集束が甘すぎる。
「喰らええぇっ!!」
「喰らえ」ってまた言ったよ…。ヤバいな…マジヤバいな。何で二回言っちゃうんだよ…。そんなに大事なことなの?
義兄エリウスが『ダンッ』と踏み込み、その場から飛び出す。身体強化された瞬発力で一気に俺に肉薄してくる。
魔力を放出する剣は、その魔力で刀身を伸ばし、エリウスは大上段に構えていた。
「『閃紅斬』っ!!」
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