第104話 残念!

えぇっと…、俺はどうしたら良いんだろうか?


「ゼハールト家の陞爵はユーリウスの手によるものを家の功績としたものじゃっ!」って義祖父さんは言っているし…。

「庶子の…それも子供がそんなことっ!?」「出来るワケがありませんっ!お爺様っ、お爺様は騙されているのですっ!」とか初対面の長兄長女に言われちゃってるし…。


「お母様っ!お母様は何故この子供を自由にさせているんですっ!?」

「待って、お兄様っ!もしかしてお母様たちも…?」


その長女の言葉に「ハッ!?」とする長兄。…ちょっと待て。

その流れだと、俺の方に…


「ユーリウスと言ったな…」


そうですが何か…?


「貴様…よくも母を…祖父を…」


あぁ~………もう、なんとなく言うことが分かってきたわ…。


「洗脳してくれたなっ!」

「洗脳してくれたわねっ!」


予想通りの台詞をありがとう、とでも言えば良いのだろうか…?

二人の言葉に義祖父さん、義母さんたちは「アイター…」と掌で額を押さえている。

そうだね、俺も「アイター…」ってしたいよ…。


「すぐに洗脳を解けっ!」

「そうすれば許してあげないこともないわっ!」


「いや、洗脳とかしてないから」


と秒でツッコミを入れてしまうくらいは許して欲しいものだけど…。


「そうか…洗脳を解く気は無いと言うことか…」

「お兄様…力を見せましょう。私たちの力を見れば…」


俺が屈服するってか?いやいやいや、無いから。そんな可能性は欠片も。


俺の力を知っている者たちはハラハラしているが、それ…俺がやり過ぎないように、ってことにだろうなぁ…。


「庶子…とはいえ義弟でもある。死なない程度に留めてやる…そしてっ!心を入れ替えるんだな!」

「援護…は要らないわよね。さっさと洗脳を解けば良かった…そう後悔なさいっ!」


何でそんなやる気満々なんですかね?そんで何処までも上から目線…。

気に入らない。

気に入らないんだけど…我が義兄義姉ながら単純でアホ過ぎる。

まあ、るってんならやるけどさぁ…。う~~~ん、相手が残念過ぎてやる気が出ない。


スラァ…っと腰に下げている剣を抜く義兄エリウス。父さんに似た容姿でその仕草は格好良いが…中身がなぁ…。

その横で勝ちを確信した笑みを浮かべる義姉アイラ。輝く金髪が眩しい令嬢然とした佇まいは美しく見えるが…やはり中身がなぁ…。


「ユーリウス…許しを乞うなら今が最後だ。………さあっ、どうするっ!?」


えぇ…まだ引っ張るの?いいからもう来なよ。


「いや無いけど…」


「お兄様…」

「ああ…残念だよユーリウス。なら…覚悟するがいいっ!」


そう言い放ち、義兄エリウスは魔力を高め、身体強化の光を纏った…。

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