第100話 六歳~十歳!
時は流れ…俺は今年七歳になる年が始まった。
今さらではあるが、こちらの世界では「明けましておめでとう」や「ハッピーニューイヤー」のような定番の挨拶は無い。…が祝うものは祝うようだ。
それはそれとして…
「ユーリウスは学校行くかい?」
「行かない」
小学校に通える歳なワケだが、父さんからの質問に俺は即答する。
貴族は小学校は行く行かないの選択が出来るので、俺が学ぶものは無いであろう小学校には"行かない"の選択しかないのは当然と言えば当然である。
出来れば、冒険者登録して
そういえば迷宮が在るとか無いとか聞いたことないな…。
「父さん…迷宮って存在あるの?」
「………………駄目だよ」
質問の答えになってないんですけど…?
「いや、在るか無いか聞いただけなんだけど…」
「………………」
訝しげに俺を見る父さん…失礼しちゃうな。俺はそれにニッコリと無言で笑顔を返す。
「はぁ…無茶はしないようにね。この国には二つ、迷宮があるよ」
ちょっと聞いた限りだと、前世にあった迷宮と大差なさそうだった。イレギュラーなことが無ければ突撃行くしかないだろう。
「本当に駄目だからね」
と釘を刺されたのは解せないけど…。
お風呂は大変良いものが出来上がっており、今では使用人を含めたゼハールト家全員がほぼ毎日入っている。
何処からかグラム商会が聞きつけ、商会長が突撃してきた時はどうしようかと思ったが、時既に遅く。
ボディーソープ、シャンプー、リンス、ついでにポンプボトルについてしつこく付きまとわれた。
根負けした俺は…
「グラム商会だけで売るのは構わないけど、製造も任せるから貧民層を雇用すること」
と条件を付け、情報を開示した。
その際、家で使用している最高級品とグレードを落とした廉価版を作るようにして平民にも買えるようにしてもらった。
そのうちグラム商会以外でも製造可能な商会が出てくるだろうが、しばらくは…いや今もウハウハらしい。
当然、ゼハールト家としては利益の数パーセントをもらっているのだが、それでも家も潤っていることを付け足しておこう。
また、この件で貧民層による影響…ヴァーチェに存在するスラムが減少を始め、ヴァーチェの街全体が潤うようになってきたらしい。
これをゼハールト家の功績と見られ、父さんの陞爵となった。
今、現在はゼハールト男爵家だ。
俺はというと、たまにレベリングに行ったり、新しい料理を作ってみたり、お風呂に新しい設備を作ったり、としばらくは順調に過ごしていた。
そして九歳…十歳になる年。
まだ見ぬ長兄、長女がゼハールト家に帰ってきた…。
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