第93話 魔導具を作ろう!②

・火石:火属性の魔物が稀に持っている、もしくは落とす火属性の魔石。上位に炎石、火炎石などが存在。


・水石:水属性の魔物が稀に持っている、もしくは落とす水属性の魔石。上位に氷石、亜種に霧石などが存在。


・聖石:聖属性の魔石。魔物は持っていない。聖属性の魔力に方向性を与えず魔石に凝縮することで生まれる一種の人造魔石。

聖石にするにはそれなりに魔力量が必要。上位に神聖石が存在するが記録上でしか確認されていない。(実はユーリウスの『無限収納インベントリ無限収納』内には在ったりする)


・インゴット:銅:………銅。


~~~~~~~~~~~~~~~~


俺はミスリル製の彫刻刀を持ち、まずは練習…と聖石と同じくらいの大きさの魔石に『彫金』スキルで文字を刻む。


「ぬぅ………ぬぐぐ…」


刻み難い…というか手が小っさくて彫刻刀が持ち難い。

先に普通の魔石で練習して良かった。聖石は作るのがちょっと面倒だからな…。


しかし…某猫型ロボットのスモールなんちゃらがあれば彫刻刀を小さく出来るのだが…と俺の思考がちょっと逸れる。

分かってはいたことだが、大して大きくもない魔石に彫刻刀で文字を刻むとか面倒すぎる。あと魔石が楕円形だし…。

…で彫刻刀が持ち難いとか、もう致命的である。あと魔石の表面滑らかなんだよな…。


愚痴ばかりになっているが、魔石数個を犠牲に何とか形にはなったので、聖石に文字を刻む。

ワードとかコードと呼ばれている文字は要は条件付けなので今回は『通った水』『浄化』の意味を持つ文字を刻んだ。


「………出来た」


ふいぃ…と一息吐いた俺だったが、ここで気付く。


入浴後に、使用後に、蛇口を『浄化』すれば良いんじゃね?………と。

もちろんこの後、俺がorzの型に膝を折ったのは言うまでもない。


しばらくして立ち直った俺は続きを再開。


次は一番肝心な給湯側。

水石には『水を出す』と、これは先程と同じ。

火石には『通った水』『40℃』『温める』と大きくもない火石に三文字使用。…いや、しんどい。


水石火石を上下に並べて確認。


「おぉ…温かい…」


成功である。


これを混合水洗型の蛇口内に、左側を給湯、右側を給水になるよう設置。ハンドル部分には普通の魔石に『触れると起動分の魔力を吸収』『起動中に触れると停止』の二文字を刻み、魔石をちょっとだけ出して埋め込む。

ちなみに『吸収する魔力』はレベル1の常人が何十何百と起動させても魔力消費に気付かない程度である。

それは魔石が持つ魔力を使用しているからで、起動しなくなったら魔石を交換すれば良いようにしてあるのだ。


「よし、完成だ」


起動実験もOK、しっかりと水とお湯と別々に出せるし、吐水口もグリグリと180度以上首が回るようにした。

シャワーこそ面倒で作らなかったが、十分ではないだろうか?


さて、外のお風呂場に戻ろうか!

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