第63話 MとS…発見!あとKも。

「店の全商品の半分ほどいただきたいのですが、おいくらになりますか?」


「………………えっ?」


呆けた顔がちょっと可愛いと思ってしまったがそれはそれ。


「店の全商品の半分ほどいただきたいのですが、おいくらになりますか?」


「いや、聞こえなかったワケじゃないんだけど………本気?」


いや、まあ、そう思うよね。一見さん、しかも子供が言いだしたらそう思うのは当然だと思いますよ、俺も…。しかし俺は本気なので…


「シーバス…」


「はっ。手付けに金貨二枚、置いていきましょう。それから納品前に見積りをいただけますか?…それから納品時に残りの支払いをさせていただきます。納品先はゼハールト家です」


やるなシーバス、完璧だ。


「どうやら本当みたいだね。分かったわ。それから金貨二枚は多過ぎ、手付けは一枚で十分。一枚は返すわね。納品は、そうね…二日後に見積りをだすわ。…でその二日後に納品。…これで良いかしら?」


むむ…決断も早いし段取りも早い。この女性…出来る!何が…と問われれば、シーバスに答えたのではなく俺・に・答えた点。短いやり取りでも俺がちゃんとシーバスの主だと見抜き、かつ俺のおふざけとかではないと気付いた点が…だ。

普通なら子供の戯れ言と捉えて、お付きの者…今回ならシーバスにあたるが…に、大丈夫ですか?などと確認を取るだろう。


「それで構いません、お願いします。シーバスかエルディア、もしくはユーリウスが受け取りますので」


「了解したよ。では二日後に」


ここでの買い物事態はこれで終わりだが…


「一つお聞きしたいことが…」


「………何だい?」


「米や大豆…などの取り扱いはありませんか?」


鰹節を見てから、俺の本命はこのことを聞き出すことに変わっていた。今在るものは売り物なんだから買っちゃえば良いだけだからね。


「はぁ~、よく知ってるね、米と大豆なんて。こっちじゃ一般的じゃないどころかまったく知らないが当たり前なのに…」


「もし仕入れが可能なら買いたいと思っているのですが…あ、味噌とか醤油もあれば…」


「………………驚いた。味噌、醤油のことまで知ってるのか…。ふふ…良いよ、普段こちらの国では売れないから今は在庫は無いけど、仕入れたら教えてあげる」


ビンゴッ!!


「是非っ!是非ともお願いしますっ!」


俺はガシッと彼女の両手を握り、上下にブンブンと振り回す。クックック…これで色々出来る。


「あっ、ああ…分かったよ…」


こうして俺は予定外ではあったが米、味噌、醤油までもゲットする機会を手に入れた。

これで納豆もあれば卵かけご飯も夢じゃないのだが、果たして…。

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