第47話 優雅な朝を!②
美人な専属メイドさんが欲しい。端から聞いたらホントにしょうもないことを考えている三歳児がそこにいた。
………俺である。
美人で優しいメイドさんに朝は優しく起こされたい、優雅な朝を求めている俺に、厳つい顔の執事が朝イチに俺を起こしに来たのが事の発端ではあるが…ホントにしょうもないな…。
だが俺は思考する。何とか………何とかならないかとっ!
色々考えた結果、正道ではやはり無理っ!との結論は出ている。ならば別の道を探すしかないワケだが…。
「ユーリウス様…昼食の支度が整いました」
「………今行く」
シーバスは悪くない、何も悪くないんだっ!これは俺の我儘だ。
食堂に行くと今本邸にいる家族が揃っていた。どうやら俺が最後だったようだ。…いや第一夫人のマイアだけはいない。彼女はまだ自室に引き籠っているようだ。
第二夫人のライラは食事はみんなで摂るようになった。…まあ、速く食べて早くマイア夫人の部屋に行くのだが…。
「遅いぞユーリウス!さあ食事にしよう!」
いや、あんたの娘だろうジジイ…。
給仕は新しく入った使用人たちが行う。まだまだ辿々しいがそのうち慣れるだろう。
一度、失敗した時に義祖父さんとシーバスがきつく叱りつけようとしていたが俺のシャイニングデコピンで黙らせた。
感謝の目で見られるかと思っていたら、俺の方が怖がられるようになったのはおかしいと思う。
やはり俺に優しい美人な専属メイドは必要である。
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「はあっはあっ………っ………はあっ」
何とか違法奴隷商から逃げ出せたのだけれど、未だ追っ手は振り切れていない。
くっ…魔法さえ使えればこんな奴ら…。
私はエルフの里から少し離れたところで薬の調合に使う数種の薬草を採取中に奴隷商に捕まった。
彼らはエルフの魔法に対して十分な準備をしていたことから明らかにエルフを狙った奴隷商たちだった。
魔法を封じる拘束具を着けられた私には大した戦闘力は無い。
そのまま馬車に乗せられ運ばれる。行先が分からないなか、私は他の仲間たちが捕まらないことを祈るしかなかった。
馬車を停め休憩を入れる奴隷商たち。私は隙を見つけ逃げ出したのだが…。
『ドスッ』
「ぐぅっ!?」
追っ手の放った矢が足に刺さり、私は盛大に転がる。
まだ…まだ動けるっ!
「っ!?」
そう思い立ち上がり、動こうとした私はその場でドサリと倒れる。
………身体が…動かな………毒…か。
「手間取らせるんじゃねえよ」
「おいおい大事な商品だ。それ以上傷を増やすなよ?」
「ああ、麻痺させただけだ。傷も大きくねえよ」
「なら良い。さっさと旦那の所に戻るぞ」
再び捕まれば今度は身体を動かせなくなるくらいに拘束されるだろう。
私は覚悟を………覚悟を………………決められない。こんな…こんなことで私は…。
「ぐはぁっ!?」
「な、なんだてめえ、俺たちを誰のぐほぅっ!?」
何っ!?
身動きが出来ないせいで後ろの様子が分からない。一体何がっ!?
ザッ、ザッ、と誰かが近付いてくる。私は…
「大丈夫か?」
「だ………だ…れ…?」
「俺はユーリウス…ユーリウス=フォン=ゼハールト。君を助けに来た者だ」
~~~~~~~~~~~~~~~~
「ユーリウス…」
「ユーリウス様…」
「はっ!?何?呼んだ?」
義祖父さんとシーバスに名前を呼ばれ我にかえる。そうだ、昼食も食べ終わって食後の一服にミルクを飲んでいたんだった。
「………ん?」
何か………周りの視線が…。
「妄想を口に出すんじゃない」
「漏れてましたよ」
「なん…だとっ!?」
俺の優しく美人で巨乳な専属メイドさんゲットへの道は険しい…。
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