第37話 まだ手が小さいから!

「おおお、お父様ぁぁっ!?」


「ユーリウス様…流石でごさいます」


結果だけ語ると『ワンパンKO』だった。

いや、結果だけじゃ駄目か…。


まあ、その、何だ…。煽りに煽られ、罵り罵られ…と舌戦になるかと思われたんだけど、義祖父さんの沸点の低さは手が出るのも早かったワケで…。


義祖父さんはシーバスよりも歳が少し上らしいのだが、未だ現役…と言っていいのか分からないが、B級冒険者中位程度の実力を持つシーバスとほぼ互角…魔法を絡めた総合戦闘力ならA級冒険者に届きそうなほどの実力者らしい。


また、持っていた黒い杖はポーズの要素が強く、実際には杖術に使用できる武器としての面が大きいそうだ。

銀の馬の装飾はミスリルとのことで、魔法用の杖でもあるらしい。


そんなワケで沸点の低い義祖父さんはすぐに杖を振り上げ、俺を叩こうとしたのだが…。


俺は一歩下がり、俺の左斜め上からの攻撃を鼻先をかすめない程度にギリギリで避ける。

左足を大きく踏み込み、前身のバネを使い身体を浮き上がらせるように、全てのパワーを左拳に載せて、杖を振り下ろしたためにがら空きになった義祖父さんの右ボディに下から突き刺す。

所轄、ガゼルパンチ。


義祖父さんはダウンし、しばらく動けなくなっていたのは言うまでもない。


もちろん俺の攻撃時、というか避ける辺りで俺は『天使化』。翼から光を撒き散らしながら避けて攻撃の瞬間までのその姿はまるで質量のある残ぞ…げふんげふん、まあそんな感じだ。


そして冒頭へ…なんだけれど…。


この後、食堂から兄姉たちがぞろぞろと出て来て…


「ユーリッ、凄いっ!」

「お、おお…義祖父さんまで倒しちまうとは…」

「お祖父様…三歳児に倒されたら…」

「今までの権威とか無くなるね」

「翼…モフりたいわね…」


相変わらずセイ兄は目をキラキラとさせて、義兄義姉たちの感想はバラバラだ…。

エントランスホールにいた使用人たちは初めて見た『天使化』とワンパンKOした俺の力にざわついていた。


ぎゃーぎゃーとうるさい第一夫人を無視してシーバスに義祖父さんを客室に運んでもらい、ベッドに寝かしつける。

…起きたら暴れそうだな、縛っとくか?と思っているとバチコーンッと目を開き、ガバァッと起き上がったので…


「ぶあぁくねつ!ゴッドォ…フィンガァデコピンッ!!」と俺もバチコーンッとデコピンをお見舞いし、義祖父さんは再びヒートエン…気絶させた。


早いよ、起きるの…。


もちろんこの後、シーバスに拘束させたのは言うまでもない。

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