第22話 光の翼!

『三歳児が戦闘』…字面だけでなく、明らかにおかしいと言わざるを得ないこの行為。

しかし、セイ兄や母さんの状況を見るに、戦闘は避けられないだろうと予想…いや、ほぼ確信していた俺は『如何に戦闘を誤魔化すのか』ではなく『三歳児が戦闘しても、ソレならしょうがないよね』の状況を作り出すこと、を考えた。


しかし、それは困難を極めた。

当たり前である、たとえどんな状況でも『三歳児が戦闘しても、しょうがない』というようなことは基本あるワケがない。…というか三歳児は戦わない。


そう、普通の三歳児は戦わないのである。…まあ、普通じゃなくても戦わないとは思うが。

いやいや、諦めちゃダメだ。俺はソレを何とかしなくてはならない。


ソレは家族の為であり、俺の為でもあるのだから。


だが、いくら考えたところで良案がポンッと思い浮かぶワケもなく、俺は苦悩を重ねる。

…ホントだよ?最悪「力ずくでも良いか…」とか思ってないよ?…ちょっとだけしか。


そして手持ちのスキルで何かないか、何か出来ないか、と探していた時…俺はソレを見つけた。


エクストラスキル『自由の翼』


このスキルにはパッシブで補正の効果とアクティブで『翼を顕現する能力』が備わっていた。

最初にスキルの確認をした時には、こんな厨二な能力は見なかったことにしよう…と目を逸らしていたのだが、この能力が状況を、問題を解決させたのである。


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「ユーリ…に翼?」

「これは…一体…?」


セイ兄が目を丸くし、女性の一人が驚いたように言う。


「初めて会う弟に翼が生えているんだが?」

「生えてるね…」

「うちの弟が天使のようなんだけれど…?」

「まあ…そうね、光ってるわね…翼が…」


兄姉は冷静にコメントをしているように見えるが、混乱の色は隠せない。


「………………」


ただ一人…冷静なのか、それとも言葉を失しているのか…シーバスだけは無言で、かつその冷徹な瞳を俺から逸らさない。


俺はというと、背中から三対六枚の翼を生やし、ソレを広げている状態である。

イメージはフリーダムガンげふんげふん…大天使の中でも上位の存在『熾天使セラフ』。


俺は翼を光魔法で黄金色に見えるように光らせ、『天使』を演出。途中、『天使の輪』も魔法で創ろうか考えたが、さすがに恥ずかし過ぎると思い止めた。

もちろん六対十二枚の翼にするのも考えたのだが、厨二が過ぎるだろうと断念したのは言うまでもない。


こうして俺はスキル内スキルを使用して自らを『天使化』、まあ、そう見せているだけなのだが…。この『天使化』により『三歳児でも天使なら戦えても問題ないよね?計画』の立案から完成を見たワケだ。


さて、これで俺の戦闘準備は完了。言い訳は後でテキトーにするとして…。

未だ、その冷たい視線を変えず、俺の前にいる男シーバス…コイツをどうしてやろうか…。

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