第2話 前世と今世の違い
100年前はまだ絶対王政時代で首都は王都と呼ばれていた。当時、既に平民の商人が台頭しつつあり、そういう裕福な商人よりも貧しい生活をしていた名前ばかり貴族が増えてきていた。一方で領地経営がうまくいっていたり、新しい事業を成功させたりして裕福な貴族もまだまだいた。我がディートリヒシュタイン伯爵家もその中に入っていた。
50年ぐらい前に立憲君主制に変わってから、王侯貴族の領地はごく一部の王家直轄領以外、全て国に取り上げられ、住民が長官を選べる地方自治体になった。だから今や貴族は名誉的な爵位があるだけで没落した貴族も多い。カントリーハウスとその敷地、タウンハウスは没収されなかったけど、不動産税や相続税が払えずに売るしかなかった貴族も少なくなかった。王家はまだ領地を持っているけど支配しているわけではなくてごく狭い範囲(王政時代に比べれば、だけど)の土地の所有権だけを持っている。でもディートリヒシュタイン家はありがたいことに商業で成功していて爵位もカントリーハウスやタウンハウスも手放さないで済んでいる。
そんな世の中になっても、人々の意識の中から上流、中流、下流の階級意識は消えていない。上流階級と中流階級、中流階級と下流階級の結婚がありえても、上流階級と下流階級の結婚はありえないと考える人はまだまだ多い。我が家も孤児院支援とかでリベラルで通しているけど、特に私のお父様は本音では階級意識の塊だと思う。
私の容姿は、前世のアンネにそっくりというわけじゃないけど、雰囲気が似ている。で、残念ながらアンネはあまり器量良しじゃなかったんだよね。
太くて赤いくせ毛、そばかす、ちんまりした目、鼻、口はアンネと同じだ。でも悔しいことにアンネの巨乳に私は似ていない!むしろ洗濯板といっていい。巨乳は唯一のアンネの外見上のとりえだったのに!
しかも胸がなくても、ほっそりしてるかよわき麗人って感じだったらまだよかったのに、私の肩や腕はがっしりしていてガタイがよく、貴族らしからぬ筋肉隆々のお父様に似ている・・・
逆に10歳上のお兄様は、美人のお母さまに似て色白でスレンダーな金髪碧眼の麗人だ。なのにお父様もお母様もお兄様も私のことをかわいい、かわいいって絶賛する。小さい時はそれで自分はお姫様みたいに勘違いして振舞ってて、大きくなってからそれに気付いたときはすごく恥ずかしかった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます