夢と現の星間郵便(起) ~死後の世界で姉と一緒に女神救出の旅に出ました~

富南

序章 神々と記憶の欠けた少女

01 始まりは不思議な終わりの夢

「……ん。え? なになに!? ここはどこ!?」



 白い地面にそのまま寝ていた私は、起き上がって辺りを見渡す。


 そこは一面いちめん真っ白い部屋で、叫び声と共に、金属同士がぶつかり合う音と、銃声が鳴り響いていた。



「……ここどこだろ? なんで私ここにいるの? それに、戦っているのって人と鬼?」



 頭から角が生えた人と普通の人が、刃を交えていた。


 私は、戦闘に巻き込まれないように、人ではなく鬼が集まっている所へ向かった。



「あ、女の子がいる」



 その中に鬼ではなく人がいたので、私はその女の子に近づく。



「ここまで攻められては仕方がない。ゲン亡き今、あたしが局長代理でこの戦いを指揮するからね!」


「「「おー!!!!」」」



 鬼人達を鼓舞しているようで、私に気づいていない。


 女の子の号令と鬼の気合の入った声が局員を圧倒する。



「キキキ! とうとう貴女が前に出るのね~、ムウ。そう、この戦いは~原初の女神様の魂のカケラの取り合いが発端~。残るはあたしと~貴女が持つカケラだけ~」



 人側でも女の子が指揮をっているようで、その女の子にムウと呼ばれていた。



「ネフィリア!! 今日こそ、その悪事、止めるよ!」



 ムウは、人側の女の子にネフィリアと呼んだ。



「それはこっちのセリフよムウ! 女神様の力は誰にも使わせないわ!」



 原初の女神と呼ばれる神様の力の取り合いをしているのだろうか?


 2人の少女が言い合っている中、鬼と人は次々と倒れていく。


 その倒れた者から白いモヤモヤが漏れ出て、霧散する者も出てきた。


 そしてついに、ムウとネフィリアがお互いの武器をぶつけ合った。


 その時、



「え? なになに!?」



 突然、世界が揺れているのではという程の、大きな地震が真っ白の部屋を襲う。



「キキキ……これも貴女の仕業ですか~。すごい能力をお持ちですね~」


「いや……あたしのじゃないよ」



 ムウは戸惑っているようだ。ネフィリアも立てなくなったようで、床に膝をつけた。



「ぎゃあああああ!!! 白いのが!!! 白いのがー!!」



 叫び声が遠くから聞こえてきた。


 それから続々と悲鳴のような叫び声が響き渡り、そして叫んでいる者からどんどん消えていった。



「白いモヤモヤ……邪気ね~。それも黒の邪気より更に濃いやつよ~」


「それがなんでここに……」


「女神様が復活して、お怒りなんだわ~。あたしは女神様の意向に従うわ~。さよなら夢羽~」



 そう言い、ネフィリアは白いモヤモヤに飲み込まれていった。



「原初の女神様はこんな事はしない……!」



 そう言いながらムウも飲み込まれ、そして世界は全て真っ白に染まって消えた。



---



「……は! ……よかった。夢だったか」



 なにか不思議な夢を見た。人と鬼が争っていて、世界が真っ白に染まる夢だ。


 ネフィリアという子が女の子をムウと呼んでいたが、私がそのムウだ。だが、私はその夢の中で起きた出来事には心当たりがない。


 その不思議な夢のことを思い出しながら辺りを見渡した。



「……ここは?」



 目の前には真っ白な天井。


 私は身体を起こし、辺りを見渡す。


 病室という感じがしたが、それよりも、もっと殺風景で窓1つ無い真っ白な部屋という感じだ。そして、私の服も長袖で、白一色だ。色が私の肌と目と長い黒髪の色しかないので、浮いている気分になってくる。



「(さっきの夢の場所と雰囲気が似ているな)」



 私は、夢のことを思い出しながら何か起こるのを待った。



 しばらくすると、真っ白な壁に切れ込みが現れ、扉のように開いた。そして、全身黒一色で顔まで黒の薄い布で隠した人が入ってきた。身長は高いが、それ以外は何もわからない。


 その人が、扉の外へ出るようにと手のひらを上にして扉を指し、こちらに一礼した。


 私はベッドから立ち上がり、案内された入口から外へと出た。

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