大きな存在

ねぇ、見て！

いつものように歩いていて、ふと目に映ったことを伝えようと、

いつものように呼び掛けて、いつものように、顔を向けて気が付いた。

いつもあった笑顔はもう、そこにはいないんだということに。

当たり前だったけど、それは当たり前なんかじゃなかった。

奇跡のような出来事で、それを受け入れて、

ずっとそばにいてくれた。

いつからだろう。そばにいてくれたのは。

いつからだろう。守ってくれたいたのは。

いつからだろう。一番大事な存在になっていたのは。

ずっと続くんだと思ってた。

ずっと続くんだと思ってしまっていた。

そうじゃない可能性だってあるって気付かなかった。

なんで気付かなかったんだろう。

なんで続かせる行動をしなかったんだろう。

なんでいなくなる可能性を考えなかったんだろう。

なんで失う前に気づかなかったんだろう。

失ったから、大事だったって気付いた。

失ったから、いてほしいって気付いた。

失ったから、ありがとうって思った。

今まで大事にしてもらった分、今度は応援しなきゃいけないのに、

大事な人には幸せでいてもらいたいって思うべきなのに、

大事な人には笑っていてもらいたいって思うべきなのに、

違うことを考えている。

その笑顔は自分に向けられていたのに。

あの場所には自分がいたのに。

この思いは伝えちゃいけないのに。

戻りたい。あなたのとなりに。

戻ってきてほしい。自分のとなりに。

戻りたい。失う前に。

待っていていい？

待っていればいい？

待っていたら、どうにかなる？