第172話 ベリアル②






「「「グゥッ」」」


 ノーナの水魔術を受けてシャドウデーモン達がうめく。


 おりゃ!

 ヒュガッ パキパキパキ

 俺はアインと力比べをしているベリアルに向かって氷魔術をはなった。

 ベリアルの羽根に狙いをつけ、見事に命中!


「ぷぽっぽ!」


 ポポが俺の後頭部から飛び降りると、脇から妖精剣の柄を出しベリアルに向かう。

 ブオンッ

 ポポが持つ妖精剣の柄から緑色に輝く刀身が伸びる!


 オンオンオン バヂヂッ

 ポポが宙空を飛び、前転をしながらベリアルに斬りかかる。

 それをベリアルは両手に持つ槍で受け止めた。



「シッ」


 ザン ザン ザシュッ

 ミーシャの連続斬りがシャドウデーモンに決まる。

 シャドウデーモンの一体は白い粉に変わり、サラサラと流れていった。


「ゲゲゲッ」


 残り二体の内の一体のシャドウデーモンが不気味な鳴き声を出すと手から陰魔法のダークボールを放ってきた!


「むん!」


 ブオンッ

 ガーベラが気合一閃、大剣を薙ぐとシャドウデーモンが放ったダークボールは霧散した。


 ドパアアアアン!

 返す刀でシャドウデーモンを切りつけ、吹き飛ばすガーベラ!

 シャドウデーモンは叩きつけられた壁際で白い粉へと化した。


「はァッ!」


 キキが雄叫びを上げると体を魔力の湯気のような物が覆う。

 バヂヂッ

 キキの構えた槍から紫色の火花がほとばしる。


「ちぇス!」


 ダンッ! ゴアァァァァァァァァァァァァァァッ!

 キキが強い踏み込みをしながら槍を突くと、槍の先から魔力の砲が放たれた!

 残りのシャドウデーモンにキキの魔力砲が突き刺さる!


「ギャース!」


 シャドウデーモンは断末魔の叫びを上げながら白い粉へと変わっていった。

 よし! これで残るはベリアルの一体だけだぜ!

 また、仲間を呼ばれる前にさっさと倒してしまおう。



 オン バヂッ ブオンッ バヂヂッ

 ポポが宙空を軽やかに舞いながらベリアルに斬りかかる。

 ベリアルはうるさい小蝿でも払うかのように槍をふりまわしていた。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」


 ガーベラが竜化する。

 決めるつもりか!

 俺は地面に跪き、大地の力で重力操作に入った。

 相変わらず胃が捻れるような思いをしながら力を注ぐ。


「ブモォッ!?」


 ズンッ

 ベリアルが膝をつく。


「離れるのだっ!」


 ガーベラが叫ぶとアインとポポがザッと後方に引く。

 ガーベラは祈りを捧げるように両手を握り込むとその両手を前に突き出した!


「ドラゴニック・ロア!」


 ガーベラの手から魔力砲が放たれる。

 ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

 膝をついたベリアルに決まった!


「やったか!?」


 俺はつい、確認の言をこぼしてしまう。

 シュウゥゥゥゥ……。

 煙が晴れると、胸に大穴を空けて跪くベリアルの姿があらわになった。


 キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!


「む! いかん!」


 ミーシャが警告の声を上げた。


「ぷぽっぽ!」


 一番近くにいたポポが妖精剣を構えて飛び上がる!

 オンオンオン バシュ バシュ バシュ

 ポポが宙空を前転しながら妖精剣を振るった。


 ゴト ゴトン ドッ

 ……ィィィィィィィィィィィィィィィィィン……。


 五体をバラバラにされたベリアルはようやく沈黙し、白い粉へと変わっていくのだった。


「ぷぽー」


 ふいーっと腕で額の辺りを拭きながらポポが息をつく。

 ウオン シュンッ

 妖精剣が音を立てて、刀身が消えた。

 ポポは妖精の柄をまた脇の下に仕舞うと、ポンポンと手を払った。


「何とかなったな」


 俺も立ち上がり、一息つく。

 頭の上でルンもミョンミョンしていた。


「ぷぽっぽ」


 ポポは白い粉の山を漁っている。

 傍目に見ると小さいぬいぐるみが砂場遊びでもしているように見えるな、コレ。


 皆も各自、装備の確認をすると自然と粉の周りに集まる。


「む、今度は槍か?」


 ミーシャが白い粉の山の一角を見ながら言う。

 どれどれ?


 そこにはドス黒くて細長い棒状のものがあった。

 鑑定っと。


 ~~~~~

 穢された聖槍

 *+}%$#

 ~~~~~


 うん、ミーシャの言うように槍のようだ。

 俺はドス黒い槍を手に取ると、大地の力を流した。

 黒いものがポロポロと剥がれ落ち、蒸気のようにかき消えていく。


 ポワンっ

 槍が一瞬光る。


 ~~~~~

 聖槍

 勇者の槍

 ~~~~~


 キラキラと神々しいオーラを放つようになった槍をキキに渡す。


「キキ、どうだ? 使えそうか?」


「う~ン、なんだか反発しますネ……」


 やはり、勇者シリーズは使い手を選ぶようだ。

 俺はキキから槍を受け取り、霧夢の腕輪に仕舞った。


「ぷぽ!」


 ポポが粉の山の中から黒い勾玉のようなものを探し出してきた。

 それを受け取り、同じ様に大地の力を叩きつけるように流す。

 今度は透き通った黄色い勾玉に変化した。


―また違う色かよ。

 考えても答えなんか出て来ないが、気になるよなー。


「ぷぽぽ!」


 ポポがぴょんこぴょんこしながら主張している。

 はいよ。


 俺は地面に手をつき、玉座の間に大地の力を流し込んだ。

 俺を中心に広がるように修復されていく城内。

 シャンデリアがキラキラと光って辺りを照らす。

 所々薄汚れていた城は、白亜の城とでも言うべき姿に変わるのだった。






――――――――――――


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