第121話 竜の巣①






 ダンジョンアタックの準備に一日をついやして翌日。

 俺たちはダンジョンがある建物へとやって来ていた。


 ここもスティンガーの町と同じように王都の街中に建物がある。

 とは言っても、こちらは街の外れの方だったが。

 町のど真ん中にダンジョンがあるスティンガーの町のほうが、珍しいらしい。


 俺たちは昨日、冒険者ギルドでこのダンジョンの情報を集めた。

 このダンジョンは“竜の巣”と呼ばれていて、主に竜が出るダンジョンらしい。

 なんとも危なそうなダンジョンの名前だ。


 俺、ミーシャ、アルカ、ティファ、ゼフィちゃん、アインとドライに神獣といったメンツでこのダンジョンに挑む。

 ルンは俺の頭の上な。


 ダンジョンのある建物に入り、受付を済ませる。

 スタンピード騒ぎで封鎖されていたこのダンジョンは、人が閑散としていた。

 中央に設置してある大きな転移石の前に赴く。

 脇には下に続く階段が伸びていた。


「マスター、少々お時間を下さい」


 ティファが転移石に触れる。

 チキチキと音を出しながらティファの目になにやらログラインの様なものが流れる。


「……マスター、ハックに成功しました。しかしボスのいる階層は抜けませんでした。二十階層、四十階層、六十階層にいるボスは倒さないといけません」


「ショートカットできるならそれで大丈夫だ」


「では、十九階層に飛びます。ワタシに触れて下さい」


 少し窮屈な思いをしながら、皆がティファに触れる。


「十九階層に転移」


 軽くクラっときたかと思うとそこはもう十九階層だった。

 岩山のようなゴツゴツとした足場だ。


 冒険者ギルドで仕入れた地図をティファが広げながら案内する。


「マスター、こっちです」


「おう」


 ぞろぞろとダンジョンの道を進んでいく。

 すると、さっそくエンカウントだ。


 ~~~~~

 リトルロックドラゴン

 竜種。頑丈な表皮を落とす。

 ~~~~~


 アインとドライが前に出る。


「ギャオオオオオオオン!」


 リトルロックドラゴンの咆哮だ。

 ビリビリと辺りに響く。


 その咆哮の中をドライが突っ切る。


 ズドンッ!

 ドライのアダマンタイト製のガントレットがリトルロックドラゴンに刺さった。

 ガラガラと体から岩が崩れていくリトルロックドラゴン


「ギャアッ」


「ふっ」


 ヒュガッ

 アルカの魔力矢がリトルロックドラゴンの片目に入る!


「ギャォッ」


「シッ」


 ミーシャも空歩で近づきリトルロックドラゴンのもう片方の目を狙う。


 ザシュ

 ミーシャの短剣がリトルロックドラゴンのもう片方の目に入った!

 これで袋の鼠だぜ!


「ギャオオオオオオオン!?」


 暴れまわるリトルロックドラゴンの尻尾をドライが押さえつける!


 ヒュガッ パキパキパキ

 ティファの氷魔術がリトルロックドラゴンの足を固めていく。


 おりゃ

 カッ! ズドォォン!


「今じゃ。マリンちゃん」


 ゼフィちゃんの掛け声とともに現れる水の精霊。

 水の精霊が腕を振るうとリトルロックドラゴンの太い首が水刃によって切り落とされた。


 ザアっとドロップアイテムに変わるリトルロックドラゴン。

 魔石と表皮を落とした。



 俺たちはドロップアイテムを拾うと、先へと進んだ。


 二十階層だ。

 切り立った岩山にポッカリと広場のような物がある。

 そこに一頭のドラゴンが待ち構えていた。


 ~~~~~

 ビッグロックドラゴン

 竜種。とても大きい。

 ~~~~~


 でけえ。

 いや。竜は基本デカいがそれでも大きい。


 俺たちが広場に入るとその身を起こすビッグロックドラゴン。

 息を大きく吸い込む動作をする。


「ブレスだ!」


 前に出たアインとドライの後ろに皆が隠れる。


「ゴアバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 ガン ガキャッ ドンッ バガン ガキン

 アインとドライが岩のブレスを防ぐ!

 俺たちはその後ろでやり過ごした。

 開幕ゲロビ・・・かよ! (※ゲロビームの略)


 俺は負けじとアインとドライの後ろから雷魔術を放つ。

 カッ! ズドォォン!


 しかし岩の鎧に受け流されて中まで通っていない!


 ビッグロックドラゴンが踵を返す。

 ぶっとい尻尾を振り回してきた!


 ガギャギャリリ!

 アインが凹んだ灼熱の盾で受ける!


 ガシッ!

 ドライがビッグロックドラゴンのぶっとい尻尾を掴む。


 狙い目だ。

 俺は早々に重力操作を行うべく、地面に手を付ける。

 深く、地面の奥底から引っ張り込むイメージだ。


 ぐおっ、相変わらずキツイ!

 胃の捻じれるような感覚を覚えつつ力を注ぎ込む。


 そっちが先に開幕早々、大技ぶっ放して来たんだ。

 文句言うなよ?


「ギャオン!?」


 重力操作が成功し、ビッグロックドラゴンを重力の枷に封じ込めた!


「マスター。ここはワタシが」


 ティファが腕を振るい、氷魔術を展開する。

 でっかい氷の車輪、もとい丸鋸の刃のようなものが現れて回転する。


 ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!

 ビッグロックドラゴンの首元に大きな氷の丸鋸の刃が入っていく。


 ズドオオン!

 ビッグロックドラゴンのぶっとい首がスパリと切り落とされ、地面に落ちる。

 ビッグロックドラゴンはザアっとドロップアイテムに変わり、いつの間にか宝箱が現れていたのだった。






――――――――――――


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