第120話 スタンピードの収束
すっかり宝石のような容貌に変わった石を鑑定してみる。
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混沌神の欠片
混沌神の体の一部
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当然の結果に俺は頷く。
色は最初の物ともこないだの物とも違っているが同じ物らしい。
俺は混沌神の欠片を霧夢の腕輪に放り込んだ。
「ひとまずはこれで解決だな」
「はい、あなた様」
「マスター、次はゴブリンキングですね」
「うむ。まずは一息つけるのじゃ」
「ウォフッ」
俺たちが自分たちの装備を確認していると入り口の方からなにやら集団がやって来る気配がする。
「お前ら無事だったか!」
大きな戦斧を背負った大男。ルドルフさんだ。
「はい。こちらの脅威は排除しました」
俺がルドルフさんに答える。
「ってことはオークキングを倒したってことか? それなら漸(ようや)くこのスタンピード騒ぎも終わりだな」
「え? まだゴブリンキングがいるんじゃないですか?」
「いんや、それがなぁ鉄級の三人が討ち取ったらしいぞ」
―三人? まさかな……。
俺はちらっと三人娘のことが頭によぎったがすぐにその考えを振り払った。
後続の冒険者たちも手伝って広場が片付けられる。
ある程度片付いたので俺たちは先に戻らせてもらうことにした。
ミーシャを神獣の背に乗せ、歩いて戻る。
辺りはもうとっくに真っ暗だ。
前線基地のルドルフさんが使っていたテントで手続きをして街の宿に帰る。
もうクタクタだぜ。
疲れた体にムチを打ってミーシャをベッドに寝かせる。
宿には先に三人娘が帰っていた。ドライとルンも一緒だ。
「あぁ、帰ってぇ来ましたぁ」
「ですです~」
「アタシ達はゴブリンキングをたおしたぞ!」
まじか。まさか三人娘が倒すとは思わなかった。
ドライとルンもいたはずだが、快挙だろう。
「凄いじゃないか!」
「三人もなかなかやりますね? あなた様」
「マスター、こちらもキングを倒しています。二匹」
「のう? コウヘイ。ここはパア―っとなのじゃ。アレをするのじゃ」
「ウォフ?」
サイズの縮んだ神獣も疑問顔だぞ。
「アレってなんだ? ゼフィちゃん。」
「宴会なのじゃ」
「あ~。ミーシャが元気になってからやるか」
「ぬ、確かに。そうなのじゃ」
少ししょんぼりとするゼフィちゃん。
おっと、いかんな。仲間にこんな顔をさせちゃ。
「明日は宿に頼んでゼフィちゃんの好きな料理を出してもらうか」
「本当か!? それは楽しみなのじゃ!」
翌日。
「みな、迷惑をかけたようだ。すまない」
朝のロビーでミーシャが皆に謝罪する。
「いや、ミーシャ。こういうのはお互い様だ」
「そうか。ありがとうコウヘイ。また救われてしまったな」
「おう」
「ところで、つかぬことを聞くがミーシャが助けられた時にガーベラはいただろうか?」
誰だって? ガーベラ?
俺とアルカ、ティファ、ゼフィちゃんが目を合わせるが疑問顔だ。
「すまない、ミーシャ。ガーベラってのはどんな人なんだ?」
「む。冒険者ギルドで会った感じの悪い竜人の少女だ」
「いや、俺たちが来た時はあの広場にはいなかったぞ? ミーシャ達はオークキングにやられたんだよな?」
「いや、違うのだコウヘイ。ミーシャ達はオークキングを倒すところまでは行った。その後だ、あの男が現れたのだ」
ミーシャの話によると、あの広場でオーク達の挟み撃ちの様な状況で戦ったらしい。
ガーベラが一人で後ろを担当し、残りの皆でオークキング目掛けてアタックしたのだとか。
皆の協力でなんとかオークキングを倒すところまでいったのは良いが、あのサオルとかいう奴が現れた。
そのサオルが強敵で冒険者たちは蹴散らされてしまう。
アインもそのサオルにボロボロにされたようだ。……ミーシャをかばって。
「薄れゆく意識の中だが、あの男がガーベラを担いでいるのが見えた。ダンジョンの奥で実験体がどうのと言っていた。すまない。ミーシャが覚えているのはここまでだ」
ダンジョンの奥地に拉致られたのか!
俺とミーシャとアインもダンジョンの奥地に拉致られた事があるけどな!
俺はちらりとティファを見る。
ティファは俺と目を合わせると目をパチクリとさせた。
ティファも随分と人間ぽくなったものだ。
どちらにしろ俺たちはダンジョンの奥地に行かないといけないからな。
大方、今回もアイツらが何か悪さをしたからなのだろう。
そう当たりをつけ、
全く
「これからダンジョンアタックだけど行きたい奴はいるか?」
「うむ。ミーシャは行くぞ」
「私もついて参ります、あなた様」
「マスター、言わずもがなです」
「妾も行くのじゃ」
「ウォフ!」
「マロンはぁ行けませんん。装備にぃガタが出てますぅ」
「です」
「アタシも矢を使い切ったし、整備に出したいんだぜ!」
ゴブリンキングと戦った後だもんな。三人娘は休んだ方がいいか。
「なら三人にヴェルとアウラの世話を頼めるか?」
「はいぃ、お安いご用ですぅ」
「ですです」
「アタシ達に任せるんだぜ!」
こうして俺たちは竜の巣と言われるダンジョンに挑むため、準備を整えるのだった。
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