初の授業

「まず、〈名〉と〈称号〉について説明したいと思います」

「自分の名は3つに分けられます。1つ目に来るのは親などにつけてもらう名、2つ目に来るのが家名、従って平民には2つ目の名がありません。3つ目の名は何だか知っていますか?」


 たしかに私が今、知っている名前は2つ目までだが、先生は3つ目まである。それはずっと気になっていたことだ。


「分かりません」


「3つ目の名は神から授かります」


「神?」


「えぇ、この世界には何名かの神様がおられます。その内の一人が名を司る神〈ネムル〉様です。私達は7歳になると教会へ行き、名を授かるのです。これを〈洗礼〉といいます」


「なるほど・・・・」

 ゲームでは知らなかった設定だ。

「では、称号というのは?」


「称号というのは洗礼の際にもらうことのできるもので、〈騎士〉〈魔術師〉などがあります。称号を授かる者は稀で、授かった者は国の騎士、魔術師になることが義務づけられます。平民、貴族関係なく。まぁ、なんといっても数が少ないので」


「そうなんですね」


「ですが、300年に一度の割合で違う称号を授かる者もいます」


「えっ?」


「現在までに確認されているのは、〈勇者〉〈聖女〉〈魔王〉〈魔女〉です。勇者はアリステリア王国の王族から、魔王はベリアル皇国の皇族からとなっているのですが、聖女と魔女に関してはランダムのようです」


 設定資料に書いてあったのは称号だったのか。・・・じゃあ私、魔女じゃん!


「あの、聖女は良さそうなのですが魔女ってどうなんでしょう?」


「詳しいことは分かりませんが、歴代の魔女は国を滅ぼそうとして勇者と聖女に倒された者もいれば、普通に国の為に働いていた者もいるそうです。結局は能力の使い方次第ですね」


 本当に人それぞれだな


「具体的に何ができるのでしょうか」


「こちらも詳しくは分からないのですが、勇者は魔物に有効である光魔法を使うことができ、聖女は聖魔法というもので回復を、魔王と魔女は全属性を使うことができ、かつシンプルに魔力量が多いそうです。一人で全国民分の魔力があるとかないとか」


「ぜ、全国民」


 フレイヤってそんなに強かったのか・・・


「あとは、―――――――――」


***


「では、最後に魔法について軽くお話しましょう。まず、魔法というのは体内にある魔力を媒介に精霊に語りかけ、精霊が起こす現象のことを言います。例えば」


「我が魔力に応えよ水の精霊ウンディーネ」

《水魔法ウォーターボール》


「これが基本的な詠唱になります」


「わぁっ!!」

 先生の手の上に水の球が現れ、それが魚や蝶へと形を変えてぷかぷかと宙を移動している


「そして、《水よ、我が手に》」


 先程と同じようなことが起きた。


「これが省略詠唱になります。省略する代わりに威力が少し落ちてしまいますが・・・・」

「最後に」


 次は手をかざしただけで魔法が出た


「これは無詠唱魔法といいますが、よっぽど使いなれた魔法か、簡単なものか、魔力が高くないとできないのであまり使うことはありません。なので基本は省略詠唱を使います」

「更に魔法には階級というものが存在します。下から初級、中級、上級、超級、天災級という感じで、天災級を使えるのは魔女か魔王のみで、超級を使えるのも世界に5人程と言われています」


 じゃあ私も使えるのかな?


「そして魔法はイメージが大切です。魔力が高ければ高いほど精霊はイメージに応え、何を詠唱するべきか教えてくれます」


「面白いですね」


「ですが自分の実力を見誤って魔法を使い、魔力が枯渇してしまうと、最悪死んでしまいます。ある程度、魔力を使うと体が警告してくれるのでくれぐれも気をつけてください」


「はいっ!」


***


 今日のノルマをこなしてから、私は魔法を使ってみようと考えた。

 読んだ本によると、魔法を使うには体に流れる魔力を探さないといけないらしい。


 ひとまず一般的な方法であるらしい、瞑想というものをしてみることにした。




「何か、暖かいものが体をめぐってる・・・・」


『フレ、・ヤ』

「えっ?」


声が聞こえた気がして目を開けてみるとそこには


 羽がついた小さな何かがいた・・・

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