第203話 お買い物
【お知らせ】
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾
先日の受賞による書籍化に伴い、作品のタイトルを下記のように変更しました。書籍化の詳細につきましては後日ご連絡します!
『アウトドアショップin異世界店 冒険者の始まりの街でオープン!』
WEB版にはないシーンも追加され、イラストもとてもとても素晴らしい出来栄えなので、お楽しみに(о´∀`о)
――――――――――――――――――
「明日からテツヤの料理が毎日食べられると思うと楽しみ!」
「昨日のアイスクリームというお菓子は初めて食べましたが、本当においしかったですわ。テツヤさんは本当に料理がお上手ですから楽しみです!」
「………………」
午後からはフェリーさんとベルナさんとリリアと一緒に市場へとやってきた。明日から王都へ行くため、食料を購入してフェリーさんの収納魔法によって収納してもらうのだ。
フェリーさんとベルナさんがそう言ってくれるのはとても嬉しいのだけれど、正直に言って今はそれどころではない。
「おっ、おい。あれってまさか蒼翠嵐のフェリー様と灼熱帝のベルナ様じゃないのか!?」
「あ、ああ! あのドラゴンスレイヤーのAランク冒険者だろ! なんでアレフレアの街にいるんだ!?」
先程から道を歩いているだけで、ものすごい数の冒険者から見られている。もちろん王都の有名な冒険者であるベルナさんとフェリーさんが一緒にいるからだ。
そもそも高ランク冒険者の中で女性の冒険者は少ないらしく、王都ではアイドル並みの人気があったもんな。強い冒険者かつ、綺麗で可愛い女性である2人なら当然と言えば当然かもしれない。
「おまえら知らないのか? 例のアウトドアショップの店の商品を運ぶ手伝いをしているって聞いたぜ。ほら、リリアさんと一緒にいるあのしょぼい男が店長だぜ」
「えっ、あんなしょぼい男があの店の店長なのか。確かに店で見たことはあるけれど、他の店員は全員美形だから、ただの雑用係と思っていたぜ」
余計なお世話だ! まったく、ちゃんと聞こえているぞ!
これまでアウトドアショップで駆け出し冒険者を相手に真面目に商売をしてきた甲斐もあって、今はうちの店もこの街ではだいぶ有名になってきた。そのため、2人がうちの店の商品を王都まで運ぶのを手伝ってくれて、うちの店に出入りしていることは知られている。
「ちっ、リリアさんだけじゃなくて、あの有名な2人と一緒に歩いているとか、羨まけしからん!」
「確かに! いつもあの店には世話になっているが、それは置いておいてけしからんな!」
「ああ。あのしょぼい店長の顔は覚えたぜ!」
怖えよ!
いやまあ、この3人と一緒に男が歩いている時点でその気持ちは分からなくないが、その気持ちはちゃんと胸の中にしまっておいてくれ。護衛にはリリアもいるし、これから一月は店を閉めているから、その間に俺の顔を忘れてくれることを祈ろう。
ここまではっきりと口にする人達は少ないが、それでも明らかにすれ違う人達が俺の方を睨んでくるんだよね……
しかも男の人だけなら分かるんだけれど、女性の冒険者まで俺を睨んでくるからたまったものじゃない。2人は女性冒険者の憧れの的でもあるからなあ。
「それでテツヤ、まずはいつもの店でいいのだな?」
「……うん、そうだね。まずは野菜を仕入れにいこう」
唯一の救いはリリアも2人も周囲の視線に気にしていないということだな。まあリリアも元は王都で有名なBランク冒険者だったし、2人は現役のAランク冒険者で、こういった視線には慣れ切っているのかもしれない。
それか鋭い視線……というかむしろ殺気が飛んでくるのは俺の方だけだから、3人は気にならない可能性もあるな。
「あら、リリアちゃんにテツヤさんじゃない。いらっしゃい」
「こんにちは」
「こんにちは、おばちゃん。今日はちょっと多めに買わせてもらいますね」
まずやってきたのは市場の野菜を販売している店だ。店番をしている50代くらいの女性はここの店の店主で、いつもこの街で野菜を購入する時はここの店が多い。
俺がこの街に来た時から、お世話になっている店でもあるな。
「あら、今日はリリアちゃんだけじゃなくて、綺麗な女性とも一緒なのね。テツヤさんも隅に置けないわね!」
「……おばちゃん、この2人は有名な冒険者なんだよ。明日からしばらくの間店を閉めて王都に行くから、その護衛を引き受けてくれたんだ」
「初めまして、ベルナですわ」
「……フェリー」
お店のおばちゃんに自己紹介をする2人。フェリーさんは相変わらず人見知りなので、少しベルナさんの後ろに隠れながらおばちゃんに挨拶をした。
「あらあら、こちらこそよろしくね。王都までということはさぞ有名な冒険者さんなんですね」
おばちゃんはベルナさんとフェリーさんのことは知らないようだ。さすがに有名なのは冒険者の間だけなのかもしれない。
「それじゃあ今日のおすすめの野菜を適当に見繕ってもらおうかな」
「はいはい。可愛らしい護衛さんもいることですし、少しまけておきますね」
「ありがとうございます」
フェリーさんの方を見ながら、そんなことを言うおばちゃん。
どうやらフェリーさんの可愛らしさに免じて少し負けてくれるらしい。なんだか得をした気分だ。
……相変わらず市場にいる周りの男性冒険者からは睨まれているけれど、少しくらいラッキーなことが起こってくれてもいいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます