28.王子17歳・秋。溺愛。

「アリサ、おいで。耳かきしてあげるよ」


「美味しいお菓子を取り寄せたんだ。一緒に食べよう」


「どこか行きたいところがあれば連れて行ってあげるよ」


「僕の膝の上に座って」


「撫でてあげる」


「このドレスをプレゼントするよ」


 ……ッハ! つい全部甘えてしまっているんですけど?!

 もう、思いを告白されたあの日から、オースティン様の溺愛っぷりが凄まじすぎます……!

 嬉しいんですが、嬉しいんですがー!

 私も同じことをしてあげたいのに、好きになったと思われると困るからできないのです!

 もうもう、王子が可愛くて可愛くて!


 …………


 そして、愛おしくて。


 はぁ。相手は十歳も年下の王子だというのに。

 告白されて、溺愛されて、ころっといってしまうなんて……大人失格です。情けない。

 でもあの笑顔を見ただけで、私はもう……っ!

 ああーー今も私は彼の腕の中ーー!!


「アリサ、好きだよ。結婚しよう?」

「耳元でそれ囁くの、禁止ですー!」

「えー、なんでー」


 抗えなくなるからです!!

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