20.王子15歳・春。恥ずかしい穴。

「アリサ、今日はこれを頼みたいんだ」

「これ……ですか」


 それは昔、東方から仕入れた、とある穴からあるものを掻き出すアイテムでは!


「耳かきをしてほしいんだ、昔みたいに!!」

「耳かきをですか!!」


 オースティン様は幼い頃、この耳かきが大好きで、よくしてしてと言われていましたっけ。

 いつの頃からかやらなくなってしまったけれど、耳掃除はごっそり取れた時が楽しいのです。


「やりましょう、王子!」


 ソファーに座って膝枕をするのも懐かしいです!

 何度そのヨダレで服を汚されたことか!

 それすらもいい思い出です!


「あ〜、気持ちいい……寝そう……」

「ふふ、眠ってもよろしいですよ」


 けれどもしばらくするとオースティン様は起き上がりました。


「今度は僕にさせてよ」

「私の耳を、ですか?!」

「ほら」


 王子の膝枕とか、私、大それたことをしすぎでは?!

 ってか、人に耳の穴を見られるのってめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!


「アリサ?」

「恥ずかしくて死にそうなんですが……私、生きてます?」

「生きてる生きてる」


 あー、でもこれ、気持ちいいですね……

 ヨダレが出そうです!!

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