19.王子14歳・冬。寒いとき。

「アリサ」

「はい」

「寒い」


 冬ですものね。そりゃ当然寒いでしょう。

 暖炉はつけているのですが。


「なにか羽織るものをお持ちしましょう」

「いい、こっちに来て」

「?」

「ここ、座って」

「は?!」


 いえ、膝の上をパシパシ叩かれましてもですね?!


「ほら」

「ひゃあ?!」


 オースティン様の! 膝の上に! ドシンと座ってしまいましたが!!

 今の絶対に重かったやつ……!!


「あー、あったかい」


 私は冷や汗出まくりですけども!


「……安心する」


 ほっと吐かれた王子の言葉に、私も顔が緩みました。


「ふふ、昔と逆ですね」

「もう僕の方が、体も大きいからね」


 ぎゅっと後ろから抱きしめられて、いつだったかこんな風に本を読んであげたこともあったと思い、心が温かくなりました。

 気分はすっかり、おばあちゃんです。

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