15.王子13歳・春。無口。
最近のオースティン様は、少し無口になられた。
思春期でしょうか。
昔のようにアリサアリサと呼ばれなくなって寂しい限りです。
「……行ってくる」
「はい、おかえりをお待ちしております」
公務で出かける時も、私を連れて行かなくなりました。
私は右手に光る黄色い指輪を見やります。
「いつまでもつけているのは、迷惑でしょうか……」
王子が当時どういう意味でこれをくれたのかはわからなかったけど、くれたことは嬉しかったから。
指輪を付けずにいて、ガッカリさせるのは嫌だったから、あの日から毎日欠かさずつけてきました。
けれど年頃になったら、年上の女に指輪を贈ってしまったことなんて、黒歴史でしかないかもしれないですね。
私はその日、トパーズの指輪を外しました。
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