11.王子11歳・春。手紙。

「アリサ、今日は先生のところで勉強だから、部屋を掃除しといて」

「かしこまりました」


 最初は私が教えていた勉強も、いつの頃からか専門の先生から学ばれるようになりました。

 勉強が多くて一緒にいられる機会がグッと減ってしまったけれど、仕方ないことですよね。

 こうして子どもは大人になっていくのですから。


「あら、ベッドの中に手紙? どなたかに出すのでしょうか」


 ふと見ると、宛先には私の名前が書かれてあるんですけど……


「アリサへ……いつも掃除ありがとう」


 たった一言だけの手紙は、私の宝物になりました。

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