07.王子8歳・秋。懐かしの絵本。

「アリサー、これ読んで!」

「あら、懐かしい絵本ですね」

「へへ」


 オースティン様が五歳の頃によく読んであげていた絵本。

 私の膝に乗って、絵本に夢中になっていましたね。


「もうご自分で読めるのでは?」

「……」


 あ、落ち込んでしまわれた。


「じゃあ、一回だけですよ」

「うん!」


 私が椅子に座ると、その隣に来るかと思いきや、オースティン王子は私の膝にちょこんと座っている。


「王子……」

「……だめ?」


 八歳、まだまだ甘えたいお年頃ですよね。


「みんなには、内緒ですよ?」

「うん!」


 私たちは結局、何度も何度もその絵本を読んで過ごした。

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