06.王子7歳・春。初めての嫉妬。

「では当日の警護はこのように」

「はい、よろしくお願いします。クレイグ様」


 騎士のクレイグ様、打ち合わせが終わっても動こうとしないんですが。どうしたんでしょうか。


「あの、アリサ殿」

「はい?」

「よろしければ、仕事が終わったあと一緒に食事にでも」

「えっ」


 と、殿方と一緒に食事?! 生まれて初めて誘われたんですけど!

 きゃー、クレイグ様は見目も素敵だし、出世頭で気が利いていて……


「だ・め!!」

「オースティン様?!」

「だ……め……ッッ」


 いや、すんごい顔してますけど、王子様……!

 クレイグ様はドン引きして帰っちゃいましたが?!


「アリサ、いっちゃやだぁあああ!!」

「い、行きませんよ?!」

「ほんと……?」


 だって、クレイグ様帰っちゃいましたし。


「本当です」

「……へへ」


 オースティン様が私の腰に巻きついてくる。


 きゅん。

 本当に可愛いんですから。

 私もその頭に、そっと手を置いた。

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