第百五十四話 竜騎士!!

「がはっ!!」


 魔力を放出し過ぎたためか、激しい頭痛と吐き気がする。


「リュシュ!! 大丈夫か!?」


 皆が俺の身体を支える。


「だ、大丈夫……けど、どうしたら……」


「とりあえず魔力回復薬を!!」


 ヴィリーが慌てて魔力回復薬を飲ませてくれた。おかげで魔力自体は回復したが、しかし同じことを繰り返してもシルヴィウスを倒せない。一体どうしたら良いんだ……。


 シルヴィウスは炎を振り払うかのように暴れ回る。


「あぁ、一体どうしたら良いんだよ……」


 アルギュロスの力を借りても足りないなんて! どうしたら良いんだ!!


 シルヴィウスは黒い炎を纏いながら一歩を踏み出した!


「!!」


 ズシンと激しい地響きを起こしながら、一歩ずつ前へと進み出すシルヴィウス。暴れ回りながら、周りを破壊して行く。


 俺たちは身構えた。しかしシルヴィウスは何も見えなくなってしまったのか、俺たちの姿を認識するでもなく、攻撃してくるでもなく、元いた場所から外へと出てしまった!!


「ど、どこへ行こうとしているんだ!!」


 黒い炎も徐々に小さくなってきてしまい、シルヴィウスの速度はさらに上がった。シルヴィウスの進行方向……そこには王都があった。


「まずい!! 街に向かっているのか!?」


 さらに人間の魂を狙っているのか!? 再び取り込もうと思っているのか!! このままじゃ街の人々までが!!


 なんとかして止めないと!! 再び手に魔力を込めた瞬間、シルヴィウスに激しい炎が降り注いだ!!



「ぎゃぁぁぁぁぁああああああ!!!!」



「!?」



 驚き空を見上げると、そこには…………



「ヤグワル団長!!!!」



 それに竜騎士たち、フェイやアンニーナ、ネヴィルの姿もあった!!



「みんな!!!!」



「うぉぉぉぉおおおおおお!!!!」



 ヤグワル団長は相棒竜と共に激しい炎を噴き出した!!!!


 フェイやアンニーナも炎を!! ネヴィルは雷撃を!!

 他の竜騎士たちも一斉に攻撃を仕掛ける!!


 数名の竜騎士は王都に降り注ぐ瓦礫を竜と共に排除するための魔法を放っていた!!



「ぐわぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」



 再びシルヴィウスの足が止まる。皆の攻撃で動きを止めることが出来た!!


 しかし、シルヴィウスは倒れることはない。苦しみもがくが、それらの魔法を振り払うかのようにさらに一層暴れ回る!!


 ナザンヴィア城はもうすでに原型を留めていないほど、あちこち破壊されている。さらに一層破壊され、見るも無残な姿となっていた。



 空から攻撃する皆は縦横無尽に飛び回り、あらゆる方向からシルヴィウスに攻撃を加える。誰もが皆諦めない。倒れないのならば攻撃を続ければ良い!入れ替わり立ち替わり攻撃の手が休むことはない。ひたすら魔法を撃ち込んでいく!



 ヒューイも吹雪を放出! ヴィリーとロドルガさんは飛んでくる瓦礫から俺たちを守ってくれる。ヴィリーはもう覚悟を決めたようだった。


 暴れ回るシルヴィウスは目障りな竜騎士を排除しようとしているのか、腕を振り回し、竜騎士を叩き落とそうとする。しかし、そんな動きに竜騎士たちがやられる訳がない!! 竜騎士たちはシルヴィウスの腕を搔い潜り、軽やかに避けて飛び、目の前で魔法を撃ち込んで行く!



 俺ももう一度黒魔法を…………そう思ったとき、頭上から声が聞こえた。



『リュシュ!!!!』



 見上げるとそこには大きく翼を広げ、白い鱗を輝かせた真珠色の竜…………



「フィー!!!!」

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