第三十二話 竜人の女の子!?
そして翌日、気持ち良く目覚めることが出来た! 爽やかな朝だ! まあ、竜騎士が駄目だったのはやっぱりショックなんだけどね。それはそれで、いつまでもうじうじしてるわけにもいかないし。
気合いを入れ準備をする。今日は育成課の説明を聞きに行くのだから。アンニーナとディアンも同じく今日は詳しい説明を聞きに行くらしい。
朝食を終え、三人揃って再び城へと向かう。
「三人でまた城に行くことが出来て本当に良かった……」
ボソッと思わず本音が漏れると、案の定というかなんというか、アンニーナから思い切り背中をバシンッと叩かれた。ぐふっ。いや、まあ、もう慣れたんだけどさ、俺って頑丈だからさ、大丈夫なんだけど……でもさ、加減てもんがない? それなりに痛いんだけど……。
「いつまでもそんなこと言ってないで、前を向きなさいよ! 育成課頑張りなさい!」
「あ、あぁ、そうだな、ありがと」
「ブフッ、なんだか二人、良いコンビになったな」
ディアンが爆笑した。
「ちょっと! やめてよ! コンビなんて言わないでよ!!」
アンニーナが本気で怒っている……、そりゃ、俺とコンビなんて思われたくないよなぁ。いや、卑屈になっているわけではなく、ディアンにそう思われたくないんだろ。それくらい分かってますよ。うんうん。
「あ、リュシュ!!」
アンニーナとディアンがイチャイチャしていると、フェイが現れた。あ、フェイも心配してくれてたんだな、申し訳ない。
「リュシュ! 大丈夫かい!?」
「あぁ、フェイ、おはよう。大丈夫。昨日あれからちょっと色々あってさ」
突然見知らぬ人間が現れたため、ディアンとフェイで軽く自己紹介をしつつ、俺の話になった。
昨晩ディアンたちに説明したようにフェイにも説明をする。
「そうなんだ、良かった!」
フェイも二人と同じように、心から喜んでくれていた。あぁ、本当に俺って良い友達を持ったな。泣きそうだよ。
「じゃあ、これから一緒に働けるんだね」
「うん、まあ竜騎士の訓練を横から羨ましそうにしつこいくらい見てるかもだけど」
「アハハ! 良いんじゃない? 見ているだけでもきっと良い勉強になるよ」
「うん、フェイのこと穴が開くくらい見詰めるよ」
「キモいわよ、それ」
「酷い!」
そんな馬鹿話を繰り広げながら、城へと到着する。
ディアンとはそのまま別れ、アンニーナとフェイと俺は演習場へ。そこからさらに二人とも別れ、昨日の建物まで。
「おはようございます!」
最初が肝心だとばかりに精一杯大きな声で挨拶をした。シーン。
え? なんで誰もいないわけ? めちゃ気合い入れて来たのに、俺アホみたいじゃん。
子供ドラゴンたちすらいないし、一体どこ行ったんだ。
『みんないないよ~?』
キーアがクルクルと飛んで回っているが、物陰にもいないらしい。うーむ。これ、どうしたら良いんだ。
仕方がないからそっと奥の部屋を覗く。
子供ドラゴンがいたこの部屋から隣の部屋へと行くと、ここは所謂食糧庫か?
なにやら木箱がたくさん積み上げられている。さらにあちこちに果物らしきものが転がっている。壁際には棚がたくさん設けられていて、なんの資料なんだかみっちりと書類で埋め尽くされていた。
その部屋自体はドラゴンたちがいた部屋と同じくらいの部屋でさらにその奥には再び扉で別の部屋へと繋がっていた。
演習場をぐるっと取り囲むように建物が並んでいた。それら全てが繋がっているのだろうか。
人の気配がないなぁ、どこにいるんだよ。さらに隣の部屋へと移動してみようとしたとき、なにやら外から話し声のようなものが聞こえ、外へと出てみることにした。
どうやら演習場ではない方向からの声、建物の裏か?
裏に回ると、そこには子供ドラゴンたちが広い空に飛び回る姿があった。
「おぉ、気持ち良さそうだな!」
『キーアも!』
勢い良く飛んで行くキーア。楽しそうだな。
「おぉ、少年! おはよう!」
振り向くとログウェルさんがいた。
「おはようございます。少年てやめてくださいよ……、俺、リュシュです」
「リュシュか、よし、よろしくな! すまんな、朝からこいつらが騒いでな、仕方ないから外で遊ばせるはめに」
「ログウェルさん、その子だあれ~?」
可愛らしい声がし、振り向くと深緑色の髪をポニーテールで纏め、茶色の瞳の十五~六歳くらいだろうか、ぴっちりとした半袖に身体のラインが分かるこれまたぴっちりとしたパンツを履いた可愛い女の子……うはっ! 可愛い! やった!
そう思っていたら、近付いて来たその子は、背がめちゃ高い……俺と一緒くらいかそれより高いか……りゅ、竜人かな……ちょっとビビる。
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