第二十二話 試験二日目!
早くない!? とか驚いていると、ディアンもアンニーナも苦笑した。
「竜騎士以外は当日試験終了で、そのままその日に合否が出るよ。全てが終わったあと、しばらく待機し、その後発表されるんだ」
「へ、へー、そうなんだ」
「竜騎士も三日目のドラゴン騎乗試験が終わったらすぐに発表されるはずよ?」
「え!? そうなの!?」
「リュシュ、知らなかったんだ」
苦笑されてしまった。そこまで細かいことは知らねーよ! 三日間試験があるっていうのは調べて知ってたけど、いつ発表されるとかは知らなかったし。
「そっか、明後日には合否が分かるんだな……」
結構あっさり決まっちゃうんだなぁ。余計緊張してきた。
「ま、まあ、とりあえずディアンはおめでとう!」
「あぁ、ありがとう。俺はもう気が楽だけど、二人は頑張れよ」
「あったりまえ!」
アンニーナは自信満々。良いなぁ、自信があって。
「とにかく今日は早めに寝て明日に備えたほうが良いんじゃないか?」
「そ、そうだな、うん、寝てしまおう」
なにも考えず寝る! もう考えたところで魔法はどうしようもないし! よし、寝て忘れよう!
夕食をいただいてからすぐに就寝……したのだが、やはり緊張でなかなか寝付けず結局寝不足……ガクッ。
翌日、再び城へ。今度はアンニーナと二人で向かった。途中でフェイとも合流し、三人で演習場へと向かう。
「二人とも大丈夫そうかい? ……ってリュシュは大丈夫そうじゃないね」
そう言いながらフェイは苦笑した。
あまりの緊張で昨夜はあまり寝付けず、朝も食欲がなく、どうやら青白い顔をしていたようだ。フェイが心配してくれている。
「きっと大丈夫だよ、昨日も僕の勘が当たっただろ? 今日も大丈夫さ」
「フェイ……優しいなぁ、ありがと……」
「ちょっとあんた気持ち悪いわよ、しっかりしなさいよ!」
き、気持ち悪いって……酷い……。フェイも若干ひいてる気がするけど……気のせいか?
「アンニーナよりフェイのほうが優しいんだもん」
と、ボソッと呟いて「あ」と恐る恐るアンニーナを見ると……
「ほほう、リュシュ……、あんた良い度胸してるじゃないの」
アンニーナが巨大化した気がした……こ、怖い……。
「ま、まあまあ、リュシュも不安なんだろう? とりあえず落ち着こう」
フェイがアンニーナを宥めてくれた。やっぱフェイのほうが優しいじゃん。俺、正解!
てなことをやいやい言いながら、再び演習場へと到着。昨日と同じメンバー三十六人が揃う。めちゃ睨む男が一人……おぉ、怒ってらっしゃる。気付かなかったことに……。
「よし、全員揃ったな!! 今日は二日目、魔法での模擬戦だ!! 魔法以外は使用不可!! 昨日と同じく相手を死なせた場合は失格だ! 今日の対戦相手のクジを引け!!」
ヤグワル団長が昨日と同じく大声で叫ぶ。そして昨日と全く同じ、クジを引き自分の番号が分かると一組目以外のメンバーは控えの間へと移動する。
今回俺は十八番。真ん中らへんだな。誰が対戦相手なんだろなぁ。
きょろきょろと周りを見回すが誰が相手だか分かるはずもなく。昨日と同じようにすでにグループが出来ていた。恐らく昨日で皆、顔見知りになり過ごしやすくなったのだろう。
昨日よりも和やかな雰囲気だ。ま、まあピリピリしたやつも数人いるが……。
「アンニーナとフェイは何番?」
「私は五番、早いな~」
「僕は三十五、昨日のリュシュと逆だね」
「そういやフェイは魔法って何使うの?」
アンニーナが興味津々に聞いた。そういやフェイの魔法は聞いてないな。模擬戦の前だからあまり情報公開しないほうが良いような気はするが……。
「僕? 僕は炎と風と土かな」
「「三つも使えるの!?」」
あまりの驚きに大声で叫んでしまい、思わず俺もアンニーナも口を押えた。周りの受験者たちは何事だとばかりにこちらを見る。
「ご、ごめん、思わず叫んじゃった」
「ハハ、大丈夫だよ、僕、別に隠してないし」
おぉ、すげー自信……羨ましい……。
「はぁぁ、凄いわね。三つも使えるなんて。そんな人初めて見た」
「俺も……」
ラナカやアンニーナの炎もめちゃくちゃ凄い威力だった。でもさすがに三つも違う属性の魔法なんか使えない。村にいたときだって複数の魔法を使えたやつなんか見たことない。
「王都には何人かいるみたいだよ? 竜騎士のなかにもいるんじゃない?」
「そ、そうなんだ……さすが王都すげー……」
「じゃ、じゃあフェイは余裕だね」
「うーん、まあ魔法の相性もあるし、余裕かどうかは分からないけど、負けるつもりはないよ」
ニコリと笑ったフェイ……何気に一番怖いやつかもしれない……。
そうこうしているうちにあっという間にアンニーナの番になり、アンニーナは相手が水使いだったらしく、そこそこ苦戦をしたがなんとか勝って帰って来た。
さて、次は俺の番だ……あぁ、胃が痛い……。
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