しおあいの百合

漆黒の白竜

しおあいの百合 ちょっと危ないSM

                   *

 私は小山志保里こやましおり。恋路女学院に通う高校1年生で、学校が始まって1ヶ月でクラスのトップになった女。

 恋路女学院は県でも有名な所謂いやゆるお嬢様学校。頭のいい人からルックスがいい人などの多くの女子が通っている。

 クラス内でのいざこざやクラス活動でみんなをまとめているのがこの私。

 1人以外は従ってくれる。そうは。それが彼女、佐崎亜衣ささきあい

 彼女は私たちに比べればお嬢様ではなく、少し勉強はできるみたいだけど、クラスではいつも1人ぼっち。

 そもそも彼女自信あまり他人と関わりたくない雰囲気を出している。

 今日もクラスで一番のマウント女子、鈴城美南すずきみなみにマウントをとられている。

 「佐崎さん、あなたは何度言えばわかるの?その長い前髪、ダサ眼鏡。この学校の評判を落とす気ですの?」

 「···」

 「何か言ったらどうですの?全くこれだから根暗女は。」

 「鈴城さん、他人にマウントをとっていてはあなたの格が落ちてしまいます。」

 「···確かにそうですね。佐崎さん、よかったですわね。」

 さすがに自分の格を落とし、これからの学校生活に支障が出るのが嫌だったらしく、鈴城さんは離れていった。

 「あなたもあなたよ、佐崎さん。自分の考えをもっとはっきり伝えないと。」

 「小山さん、佐崎さんにも厳しいね。」

 「ちょっと言い過ぎな気が···」

 残念ながら聞こえている。

 「いいえ、お互いが直さないと関係は改善しませんわよ。」

 これは彼女達のためであるのだから。そう彼女たちのため···。


                    *

 部屋に響く愛にまみれた吐息と音がこの部屋をギシギシと揺らす。

 「ねぇ志保里。私は気にしてなかったのに。志保里が言うから考えてしまったじゃない。あなたが一番気にしなきゃいけないことだって。」

 「ひっ、···ひっく、ごっごめんなさい。」

 ここは亜衣の部屋であり、私へのお仕置き執行部屋でもある。

 「こんな恥ずかしい姿で私の愛を求めている志保里を見てると、もっと意地悪したくなるじゃない。」

 私と佐崎さん、いや亜衣の秘密は、学校とここじゃ真反対っていうぐらい。

 「今日もいろんな人達に厳しめにしてたクラスのトップが、お嬢様がこんなんじゃ、それこそ評判を落とすことじゃない?」早く、早くシて。

 「反省してます。今度から少しずつ優しくしていくから。だから。お仕置きしてください。」

 「そうよね。かれこれ10分ぐらい縛られて宙吊りで放置されているんですもの。とてもたまっているわよね。」

 「···早く。早く。亜衣。···」

 「ええ。そんな餓えた獣のような目をされたら、誰だって襲いたくなる。もう仕方ないわね。そういうとこも好きだけど。」

 「亜衣···好き。早く。お願い。···」

 ペロッ。そんな効果音だけでも亜衣の愛が私の全身を巡るように溢れてくる。

 少しいじめつつ、でも、お互いの愛を十分に感じる手使い。

 私の弱いところを突いて、私の全身からで出る愛溢れた声で、その藍色の瞳をトロンと潤わせて、触れ合うその時間。

 1秒が10分に感じる私たちの時間は過ぎていった。


 「ねぇ、志保里。どうしてあんな言い方、態度になるの。」

 自由になった体を亜衣に預けて、私は答える。

 「私と亜衣の関係がバレないようにするためだし、何より、亜衣に悪い虫がつかないように見守らないといけない。」

 「そんな必要ない。」唇を封じられた。

 「私は志保里しか見ないし、志保里は誰にも渡さないから。」

 「亜衣···大好き···」また唇が重なり、夜は更けていった。


                    *

 それからというもの、志保里はクラスのトップから退き、他人に優しくする努力をしていた。

 その甲斐あってかクラスは毎日他愛もない会話で賑やかで、志保里はの周りに人だかりが出来始めた。

 ダメ。手を出してしまう。抑えろ。

 自分の嫉妬を。怒りを。

 ここで心を落ち着かせるために深呼吸をする。

 落ち着いた。


 変わったことは、志保里の周りに人だかりが出来たこと以外にもある。志保里がデレデレになったこと。

 気がついたら私の席に来て、机に顔を置いてニコニコが顔で好きなんて言ってくるからもう大好き!

 好き、好き、だぁい好き!もうめちゃくちゃにしたい。早く学校終わんないかな。

 でももう無理。私も学校で大好きアピールする!




                   *


 これからも2人のちょっと危ない恋は続く。

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しおあいの百合 漆黒の白竜 @shikkokunohakuryuu

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