#14 計画の遅れ

太陽の日差しを避けるように川辺の橋の下で横になっていたら、いつの間にか寝入ってしまい、

朝になって差し込んで来た日の光と、気温が上がり始めた熱気から、漸く目が覚めた。


完全には開ききっていない目でぼやーーーーっと辺りを見回し、

ハッと気付いて慌てて立ち上がった。


まずい、寝過ごした!もうだいぶ日が高い!


今日は憲兵たちが王都に帰る。

昨日の諜報活動(?)では何時に帰るかまではわからなかったので、

今日は早いうちから町内を回り、憲兵たちの宿舎を見つけ次第馬車に潜りこもうと思っていたのだ。


慌てて町の中心部へ向かった。勿論誰にも気付かれないよう気配は絶っている。


おや?

例の店があった辺りに複数名憲兵たちが集まっており、

昨日に引き続きまだ調査しているようだった。


(あれ?今日王都に帰らないのかな?

馬車でまる1日かかるし、出発するなら朝からだと思ったんだけど。)


とりあえず昨日と同様憲兵たちの会話に聞き耳を立てた。


「現場検証はこれ以上する事ないのに、上は何故出発を決断しないんだ?」


「いや、どうもただの爆発じゃないらしいし、店主の腕見ただろ?普通じゃない。

しかも店主や目撃者の町民たちは口々に子供がどうのこうの言ってるし。

原因を究明するまで王都への帰還は許さない!って上が、言い出したらしい。」


なんということだ。王都へ帰れないのは自分のせいらしい。


憲兵の馬車に便乗という、王都へ行くのにこれ以上ない解決法を思いついたと思ったのに、

自分のしでかした事で計画が頓挫してしまったらしい。


(こういうのを人間たちの間では因果応報?いや、身から出た錆?というのか。。。)


魔王はガクッと肩を落とし、その場で、項垂うなだれた。


「ほんと、嫌になるよな。

手柄を立てたくて今回の調査に名乗り出たのに、

簡単に調査が済むと思ってたら難解な問題が発生して慌ててるんだろ。」


暫く話を聞いていてわかった事は、

どうやら見栄を張りたい馬鹿な貴族が、敵対する派閥の貴族を貶めるためやって来たという事だ。


その貴族と繋がりがあるであろう店主の粗さがしのため、

意気揚々と憲兵たちを引き連れて来たが予期しない問題が発生。


原因はわかりません、なんて報告出来る訳もなく、だいぶ焦っているようだ。


(どうしよう。どうしよう。歩く?いや、もういっその事飛んで行く???)


魔王が頭の中でパニックを起こしていると、誰かがこんな事を言った。


「店主の腕を、呪術師様に診て貰ってはどうか」


憲兵たちは一斉に声の主に目をやった。もちろん魔王も同じ方へ視線を向けた。

そこにいたのは、少し小太りの背の低い年配の男だった。

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