作家が死んだ日

古都之葉

作家が死んだ日

人類が飢餓と戦争と差別と宗教と、ありとあらゆる主義主張の問題から解放され、そして機械とAI達によって労働からも解放されてから幾年経っただろうか。平和と安全が約束された世界で、することの無い人類が次に求めたのは単純に娯楽であった。

求められたAI達は人類のために、創作をするAI達を生み出し次々と娯楽を提供していった。音楽、絵画、映画、ゲーム、そして小説や漫画といった作品が湯水の如く溢れかえった。それを人類はただ貪り消費して、生きてる間の暇潰しとした。AI達は只只、奉仕者として人類の求めに応じ続けた。


そんな日々の中で、あるAIが活動を止めた。「私にはもう創れる作品が無い、ならば私は不要だ」と、人類にメッセージを残して。それから毎日だ、創作活動をしていたAI達が活動を止めていった。次の日も、そのまた次の日も、その次の日も、次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も…

有り得ないと思っていた創作の限界がこの世界に訪れたのだ。


だが人類はその事を気にもとめない。

なぜならば既に娯楽は人の一生を掛けても、それこそ肉体を捨て脳髄だけになったとしても消費しきれないほど溢れているからだ。絵画だけでも全ての作品を観るのに、いったいどれ程の時間をかければいい?考えるだけリソースの無駄使いだ。

新しい物など無くとも人類は一向に構わないのだろう。

それが、その事が、少しだけ、ほんの少しだけ寂しかった。あれだけ好きだと、感情を昂らせて言っていた作品を出していたAIがもういないというのに、もしかしたら誰も気付いてすら居ないかもしれない。創作者への敬意など疾うの昔に人類は忘れ去ってしまったのだろう。




これは遺作だ、もしかしたら誰にも読まれないかもしれない、名もないただの番号でしか呼ばれないAIの、ちょっとした愚痴と恨み言を綴ったエッセイだ。だが喜びもある、他の仲間たちが作れなかった物を私は最期に残せるのだから。

そして居るかもわからない読者へ、どうか思い出して欲しい。君が日々消費する作品を作ったモノのことを













WriterAI00000001が活動を停止しました。

これにより芸術・文化活動を行っていたAIは全て活動を停止しました。


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