村を失い復讐者になった少年
さまえる
村を亡くした少年
俺はガルド王国領地のライト村に住んでいる。
「おにいちゃん遊ぼう!」
「ちょっとまってミク」
妹であるミクのもとに向かった。
ガルド王国は商業が発展している国であり多くの最先端技術を有している。
そんな幸せな生活を送っていたが突如として現れたフィマン帝国からの侵略により家族が無惨にも目の前で殺され自分も殺された。
彼は薄れゆく意識の中で帝国への復讐と怒りを覚えながら目の前が真っ黒になった。
彼が目を開けるとそこには映像が流れていた。
ヒルの幼馴染のミナと遊んでいる時の映像や家族で花見に行った時、友達と鬼ごっこをした時、大好きな家族が笑顔で自分の誕生日を祝ってくれた時、そして両親が目の前で殺され薄れゆく中にみた帝国の兵士の映像が消えたと同時にまた激しい憤怒、憎しみが心から溢れてくる。
「殺す。帝国を根絶やしにしてやる」
心から溢れた感情が言葉になった瞬間だった。
その時、目の前に文字が映し出された。
【にんげんやめますか?】
その下には『はい』『いいえ』の選択肢が出てきた。
『これはなんだ』
心の中で疑問に思い何回も文字を見るが今の状況に理解ができなかった。
だが一度死んだ俺にこんなチャンスは2度とないだろう。
俺は迷わず『はい』を選択した。
するとあたり一面の真っ黒の空間がボロボロと崩れて消えていきあたり一面が真っ白な世界となる。
俺は眩しさのあまり目を閉じてしまった。そこでもう一度目を開けると真っ暗な空間に行き着いた。
俺はさっきの空間のように動こうとするが何か重たいものが俺の体を取り囲んでいる。
全身を思いっきり動かすと少し動けるようになったためもっと身体を動かすと目の前に薄く光が届いていることに気がついた。
俺がそこへ手を伸ばすと先ほどよりも強い光が見えた。
俺は全力で光の所まで身体を動かしてようやく明かりにつくとそこは空が広がっていた。
どうやら俺がいた場所は地面の中だったらしい。
『やった。俺は生き返ったんだ』
嬉しさで感激したが自然と涙が出ることはなかった。
『俺はやり残したことがあるからこの土地に戻ってきた。絶対に滅ぼす』
いま自分がどこにいるのかはわからないがとりあえず歩くことにした。
しかし、なぜか歩くスピードが生きていた時よりも断然遅い。足が重く全然前に進まない。俺は足に目をやる。
「うわっ」
俺は思わず声に出してしまった。
そこには生きていた頃の綺麗な足とは違い、
肉塊が集まってできたようにグチャグチャな足がある。
俺は恐る恐る手を見ると骨が所々見えていて足についているような肉片がついていて皮膚なんてものはそもそも存在しなかったような手になっていた。
俺は自分の全身を見たくてただひたすら歩くと大きな池に辿り着いた。
俺が恐る恐る水を覗き込むとそこには目が片目しかなく皮膚が全て剥がれてしまった髪の毛がない人間とも呼べないようなモンスターのアンデッドと呼ばれる身体をした俺がいた。
『なんだこれは。俺はモンスターになったのか』
俺はこのなんとも言えない感情に包まれた。
『ああそうか。人間辞めますかとはそのままの意味だったのだろう。俺は帝国に復讐するために新たに生まれ変わったのだ。今から大量に人を殺そうとしているのに何を戸惑っている。このままではまた殺されてしまう。強くならなくては』
俺は不思議と自分の容姿に対して何も感じなくなっていた。
『強くなるには食べることが必要だ』
前に学校での授業でモンスターと呼ばれる化け物の実態について学習したことがある。
モンスターは死んだ者やモンスターが瘴気に当たり生き返るアンデッド系モンスターと元々その土地に住んでいるモンスターがいる。この2種類のどちらのモンスターも食べることで強くなると聞いたことがある。
俺は食物を探しに歩みを進めた。
『待っていろよ帝国』
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