第20話 二十

「ごちそうさまです、美味しかったですね」

そう笑顔で言ってくる彼女に俺も頷きながら返事を返したところで、次はどこに行こうかと考えていると、

突然、袖口を引っ張られたのでそちらの方を向くと、彼女は微笑みながら、行きたいところがあるような仕草をしていたのを見て頷くと、

嬉しそうな顔をしたあとで手を繋いできたので、それに答えるように手を握り返すと、ゆっくりと歩き出したところで、再び話しかけてくるのです。


その話を聞いていると、なにやら、アクセサリーショップへ行きたいとのことでしたので、早速向かったまでは良かったものの、

中々決まらない様子で、うんうん唸り続けているので見兼ねて、こちらから提案してみることにしたのです。

(いっそのこと全部買ってしまおう!)


そう提案したら、最初は驚いていたもののすぐに賛成してくれたので、すぐに購入することにしました。

その後は、特にやることもなかったので帰ることになったので、帰路についたわけですが、屋敷の近くまで帰ってきた時にあることに気がついたのです!

それは、先程まで感じていた温もりが消えており、辺りを見渡しても姿が見当たらないではありませんか!


一体何処に行ったのかと心配になり、探しに行こうと思った矢先、背後から声をかけられたことにより振り向くことにしたのだが、

そこに立っていた人物を目にした瞬間、固まってしまい何も言えなくなっていました……。

何故なら、そこにいたのは、聖羅だったのだからです!


どうしてここに居るのかという疑問はあったものの、それよりもまず先に言うべきことがあることを思い出した俺は、

とりあえず謝ることから始める事にしたのだが、それが失敗だったのか、それとも成功だったのか、

どちらとも言えない結果になったが、少なくとも言えることが一つだけあるとすれば、

彼女からの返答を待つ必要がなくなったという事だけだった。


というのも、なぜか急に抱きついてきたからだ!

そして耳元で囁かれたことで、更にドキッとしてしまっていたところに続けて、とんでもないことを言われてしまったのだ……。


それを聞いた直後、あまりの衝撃により頭の中が真っ白になってしまい暫くの間、呆然と立ち尽くしていたが、

ハッと我に返ると、恥ずかしさのあまり顔を覆いたくなる衝動に駆られたが、それを何とか抑えつつ恐る恐る顔を上げてみると、

そこには満面の笑みで見つめてくる彼女がいて余計に恥ずかしくなってしまった俺だったが、そんな彼女の顔を見ているうちに自然と

顔が緩んできてしまいニヤけそうになるのを必死に堪えていると、それを見ていた彼女が声をかけてきたので咄嗟に誤魔化そうとしたのだが、

上手く行かず結局バレてしまうと、案の定からかわれてしまったので、仕返しとばかりにこちらも同じことをしてみると、


「ひゃん!」

可愛らしい声とともに身体をビクつかせていた姿を見て興奮してしまった俺は、そのまま襲いかかりそうになったところを

必死に堪えつつも理性を保つことに成功していたおかげで事なきを得た俺は、安堵のため息を漏らしていた……。


しかし、その後もしばらくの間ドキドキしたまま過ごしていくことになるのだった……。

翌朝目を覚ますと目の前に綺麗な寝顔があり一瞬見惚れてしまうもすぐに我に返った俺は、

そっとベッドから抜け出すと、身支度を整えてから部屋を出ると朝食を摂るために食堂へと向かうのだった……。


それから朝食を終えた俺は、自室に戻ると身支度を整えるのだった……。

それから部屋を出て広間へと向かった俺は、既に来ていた両親と共に食事をしたあとは、部屋に戻り出かける準備を始めたのである……。

それから少しして準備を整えた俺が玄関ホールへと向かう途中で、後ろから声を掛けられたので振り返ると、そこにいたのは、メイド長でした……。


俺が、どうかしたんですかと尋ねると、これから外出されるのであれば、お供したいと言うので断ろうとしたところ、

勝手について来られることになりましたが、正直邪魔なので、やめてほしいと思う気持ちはあるものの、

ここで拒否して変に勘ぐられても嫌なので渋々了承することにしたのでした……が、その後、

馬車に乗り込む際に何故か手を繋がれたまま乗り込んだ上に、隣へ座られてしまったことで、

非常に気まずい雰囲気の中、早く目的地へ到着してほしいと思っていると、不意に話しかけられた為顔を向けると、

こちらを見つめている彼女と目が合い、動揺したせいで思わず目を逸らしてしまいましたが、その直後、

肩に重みを感じたことで目を向けてみると、そこには彼女の頭が乗っかっていたのだ!?


驚きで声が出ず、身動き一つ取れずにいた俺だったが、不意に聞こえてきた寝息に釣られて、

いつの間にか寝入ってしまうのだった……。

そして、目が覚めた時には、目的地に着いていたようで、隣にいたはずの彼女の姿はなく、

代わりに執事がいて驚いた顔でこちらをみていたので、どうしたのかと聞いてみると、

どうやら彼女を迎えに行ってほしいと頼まれたらしく、仕方なく向かうことにするのだった……果たして、

そこで待っていた彼女の姿を見た俺の反応はいかに? という感じになります。


執事から話を聞いた後、屋敷へ戻るための手配をしてもらっている最中に、先程の話の中で気になることがあった為に、

そのことを聞いてみたところ、どうやら彼女と一緒に出かけたいと思っていたらしいことが判明した為に、

一緒に来るかと誘ってみた所、喜んで着いてくることになったため、共に目的の場所まで移動することに決まったのでした。


そんな訳で、一緒に来たはいいけれど、先程から一言も発することなく俯いたまま歩き続けていた為に、

どうしたものかと考えていたところで、突然、声をかけられてビクッとしながら、

声のする方を見ると、こちらをじっと見つめる視線に気がついたので、どうしたんだろうかと思いながら、

尋ねてみると、何でもないよと言われてしまいそれ以上は何も言えなかったので、

無言のまましばらく歩いている内に目的の場所に到着したので、扉を開けて中へ入ることにしたのであった……。


店に入ると店員の人が出迎えてくれたので、軽く挨拶を交わした後で店内を見て回ることにした。

すると、奥の方に飾られている服を見つけたので近寄って見てみると、どれもこれも可愛くて目移りしてしまいそうになる程、

様々な種類の服があって、その中でも一際気になったものがあったので、手に取って眺めていると、

店員さんが声をかけてきてくれたので、気に入ったものを試着させてもらうことにしたのだった……。


数分後、着替え終わったあと鏡の前に立って確認してみたのですが、店員さんが選んでくれただけあって、

凄く似合っている気がして、なんだか嬉しくなりました。


そうして、この服を着た状態で会計を済ませたあと、着ていた服を綺麗に畳んで袋に入れてもらった後、

お店を出て次に向かった先は、雑貨屋さんだったのですが、色々と見て回っているうちにいい物が見つかって、

満足していたのですが、ふと時間を確認すると、思っていたよりも時間が過ぎていて、

そろそろ帰ろうかと思っていたところへちょうど良く聖羅から通信がかかってきたので、

通話に出るなり用件を聞いてみたら、もうすぐ着くらしいので待っている間に、買ったものが入った袋を手渡したら、

とても嬉しそうにお礼を言われたあとで、また今度出掛けようねと言われた後に通話を切ると、暫く待っていると、

遠くから手を振って歩いてくるのが見えたので、それに応えるように手を振り返すと、駆け寄ってきた勢いのまま抱きつかれてしまったのでした!


(可愛いなぁ)

そう思いながら抱きしめ返していると、満足したのか離れてくれたのですが、

その時にはもう周りの視線が痛いくらいに突き刺さっていたので、恥ずかしくなった俺達は、

急いでその場から離れるために歩き始めたのでした!


(やっぱり恥ずかしいよね)

そんなことがありながらもなんとか屋敷に帰り着いた俺達は、一旦自分の部屋へと戻るために別れようとしたところで、

袖口を掴まれてしまって動けなくなってしまったので、どうしようかと考えている。

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