死にたがり邪神と嫁入りした生贄少女 第一章 生贄少女
光闇 游
0.おとぎ話
世界は一度、滅んでいる。
かつて世界には、神がいた。
水神は病を治す清水を、風神は汚れを祓うそよ風を、土神は豊かに満たす土壌を、そして火神は、命を蘇らせる温もりを。神々はそれぞれの力を世界へ与え、人々を導いていたのだという。
人々はその神々を崇め奉った。その内、人々の中から神のより近くでお仕えする為の四人の神官が選ばれ、やがて彼らは王となり、それぞれの国を作っていった。
先に悪を生み出したのは、火神を祀る国だった。
火神の力は悪用された。命を蘇らせる温もりは、焼き尽くす炎になった。その炎で火神を祀る国は他国を脅し、世界を恐怖で支配しようとした。
しかし、神の力は、人に扱えるものでは決してない。
邪な信仰によって火神は邪神と成り果て、力を暴走させた。焼き尽くす炎は他国だけに留まらず自国すらも巻き込み、世界の全てを燃やし。
そうして世界は一度、滅んだのだという。
世界を滅ぼした邪神は、全てを燃やし尽くした後に、一人の青年によって討伐された。
その青年は「勇者ローシュ」という名で、後世に語り継がれている。
対照的に、生き残った人々から疎まれた邪神の亡骸は、それでも元は尊い神であった為、どこか遠くの地に埋葬されたらしい。
と、このお話の最後は、そう締めくくられている。
そう、これは。
ただのおとぎ話だ。
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