28.結婚生活シミュレーション ♡ モエネ編① → 宝具破壊
「魔王様との『ドキドキ♡
聖女が目をきらめかせて言った。
「今回もあたしたちは
「
「あらあら! それはこちらの台詞ですわっ」
聖女は頬を膨らませる。
どうやら前回のクウルスによる『中継魔法
「あれ以来、なんだかクウルスさんに〝余裕〟が出ているような気がしてならないのです」
「そう? きの、せい」
「あらあらあら! そういうところですわよ!」
きー、と聖女は拳を空で振った。
「
ばばーん、と聖女は
「この婚姻届にそのままサインをしていただきますわっ」
「ん……それは、きいてない」と淫魔が眉をひそめた。
「模擬から
ふふん、と聖女は胸を
「あ、そういえば」と勇者が気づいたように言った。「モエネと魔王が模擬の結婚生活を営むのはいいんだけど……あんたって、たしか魔王に近寄るとオーラが
「あら。そのような愛の障壁は、とっくのとうに乗り越え済ですわっ」
聖女は袖をまくって手を掲げた。
腕輪がついている。真ん中には宝珠が埋まっていた。
「こちらは【聖加護のブレスレット】ですわ! その偉大なる効果で、旦那様のオーラによる
「やっぱり自分でデバフって言っちゃってるじゃない!」
「あら、口が
鼻高々に見せつけるように腕を掲げていると。
そのブレスレットの中心にはまっていた宝珠が。
ばりん。と。
タイミングよく割れた。
「うわー! 割れちゃったーーーー⁉」と勇者が叫んだ。
「そ、そんなっ! どうしてっ……⁉」
聖女はおろおろしながら破片を集めている。
「大変なことになりましたわ……! こちらは神聖なる宝具で――同等の強さのものは、この世にふたつとありませんのっ」
「酷使しすぎたんじゃない?」と勇者が言った。「はじめて会った時以来、ずっと魔王と接してきたんでしょう? そういえば、さっきちらっと見ただけでも宝珠が黒く
本来であれば、魔の力から一時的に身を
それを魔の力の根源たりうる魔王と常に接していたら、ガタがくるのも仕方がなかったらしい。
「で!」と勇者が仕切り直すように言う。「肝心の
しかし聖女はきっと空を
覚悟を決めたように言った。
「――このまま、続行しますわっ」
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