2-3
***
鍛錬部でせっせと
もはや鍛錬を積んだところでこの文字は変わることはないのだろうか。
ルナリア様やジュリア様は日に日に
「何やら考え込んでいるのかな、ルイーゼ」
「シルヴィール様」
先日のお礼とのことで、学園内の王族専用の
久々のシルヴィール様と二人きりのお茶会で少し
「この間は悪かったね、私の体調で君に心配をかけてしまった」
「い、いえ! 大丈夫ですわ」
「体調も戻ったし、もう君に心配はかけないよう、心がけるよ」
ニッコリと微笑むシルヴィール様に私は胸が何故かズキンと痛む。
私が枕に
完璧な第二王子に戻ってしまったシルヴィール様を少し遠く感じた。
「ルイーゼ?」
「いいえ、何でもありませんわ。体調が戻られて良かったです」
心に
大丈夫、だって私とシルヴィール様は政略的な関係だもの。この距離がちょうど良いのですわ。
気を取り直して、お
学園生活や鍛錬部についても報告すると、シルヴィール様はティーカップを置き、ニコリと微笑む。
「最近はダルクとよく一緒にいるみたいだね」
「ええ。鍛錬部の特別顧問として友人の鍛錬を手伝ってもらっているのです。色々アドバイスを下さり、心強いのですよ」
「そう……。君の友人はフォレスター令嬢とレインデス令嬢だったかな。最近は悪い
貴族令嬢の中でも、ダルク様式鍛錬法が
「ふふふ。身体を鍛えれば心も鍛えられますからね」
破滅を
「君は変わらず……面白い。見ていて
面白い……ということは、もしかしてシルヴィール様も鍛錬部にご興味があるのかもしれない。
ならば、シルヴィール様も一緒に――そう言いかけたところで、
「ルイーゼは、ピクセル・ルノー男爵令嬢と交流はある?」
そう
「ありませんが……」
『主人公(あざといヒロイン)』が頭の上に浮かんでいる、ピンクブロンドのふわふわな髪を持つ
入学式にぶつかったり、剣術の授業中に誤って飛んできた
そういえばこの間、ダルク様が「ピクセル・ルノー嬢がシルヴィール様に付きまとっている」と言っていたことを思い出した。
「彼女は『
――癒しの力……。
その力が発現すれば、ピクセル・ルノー様はあらゆるところから狙われかねない。
危険な目に
「わかりました。意に留めておきますわ」
「ああ、よろしく
「え……」
シルヴィール様の言葉に私は目を見開いた。今まで、シルヴィール様は誰に対しても平等であり、誰かに興味を
ピクセル・ルノー様はシルヴィール様の『特別』になったりするのだろうか……?
心にポツリと黒い
私との婚約を無理に続行する必要はない。『異能持ち』の私は別の方法で保護し、シルヴィール様は自分の気持ちを尊重した婚約を結んでもいいのだから。
元々、身に余る婚約をお断りしたいと思っていたのは自分の方だ。
それが
ブンブンと頭を振って、シルヴィール様に微笑み返した。
「ルイーゼ?」
「私にお任せくださいませ! さあ、頂きませんか? お菓子も美味しそう」
「……そうだね」
何か言いたげなシルヴィール様に気付かない振りをして、焼き菓子に手を
そうだ、私にできることと言えば、
シルヴィール様の幸せのために善行するまで!!
モグモグとお菓子を
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