第50話 ダンジョン4
ダンジョン内の拠点にて
「職持ちの皆さん今3階と4階にいるんですよね」
話をしながら昼食の後片付け兼、夜ご飯の下ごしらえを行う隊員。
「そうだ」
ジャガイモの皮を剥きながら話をする。
ちなみにここでの料理も検証の一環を兼ねている。
拠点のすぐ脇に穴を掘り、ビニールを入れる。
その中に捕まえてきたスライムを放り込み、その中に野菜くずを入れる。
スライムの消化実験だ。
これでスライムが野菜を消化してくれたゴミ問題の解決に一歩前進する。
「あの羽ウサギが闊歩する中よく3人1組で行動できますね」
「あの威力とんでもないからな……しかも小さいから目視出来たら即懐に飛んでくるし、腕でかばうにも下手すりゃ腕が折れる」
「いつあの白い悪魔が出てくるか……お化け屋敷みたいな感覚で進まなくちゃいけないのに……職持ちって凄いんですね」
「お昼に戻って来た時も平然としてたもんな。 いくら訓練してても俺たちじゃ厳しいのかもな」
「そういう意味では羨ましいですね。 天性の才能みたいなものですからね」
「なにも戦う事だけが必要なわけじゃないだろ、例えば今行ってる食事の用意、いくら戦えると言ってもずっと体力が持つわけじゃない、休息も必要だ。 その時に暖かい食事があるだけでも違うだろ」
「確かに」
「それに機材、通信機器や、用具の整備や設置、撤去、毒物、劇物の取り扱い、機器類の取り扱い……専門知識を有する分俺たちの方が詳しい」
「まぁ……その点は素人だもんな。 比べる方が可哀想だ」
「ようは適材適所さ、職持ちは戦闘特化、俺たちは俺たちの出来ることをすれば良いんだ。 腐るなよ」
「はい」
1時間くらいして先ほどの魔物部屋に戻る。
「いくよ」
「おう」
「うん」
足を踏みだす。
するとまた羽ウサギが沸いた。
「『隔絶の結界』 。 リポップ時間は1時間ね」
「次はどうする?」
「今度は五十嵐がやる?」
「分かった……ちょっと試したいことがあるんだがいいか?」
「ん? どうぞ」
そう言うと五十嵐が私たちの前に出る。
一つ目の結界を解除し、すぐさま五十嵐と私たちの間に隔絶の結界を張った。
この結界も最初の頃より随分と効率が良くなったものだ。
同じMPで結界の強度を超える攻撃でないと破壊できなくなったもの。
ステータスの魔力の項目も関係あるのかな?
それとも防御力なのか? 興味深いね。
そんなことを考えていたら、羽ウサギたちはいっせいに羽を広げ五十嵐目掛け飛んでいった。
「『鉄壁』 」
五十嵐がスキルを発動する。
するとそれに触れた羽ウサギは勢いそのままに跳ね飛ばされた。
跳ね飛ばされた羽ウサギが後ろに控えていた羽ウサギにぶつかる。
ダメージの許容オーバーだったらしく跳ね飛ばされた方も、ぶつかった方もどちらも消えてしまった。
数が減った羽ウサギを五十嵐がナイフを手に持ち蹴散らしていく。
蹴散らすというか、突進してきた羽ウサギの前にナイフを置くだけで勝手に消えていくというか。
「やったー羽ウサギのしっぽ2個目出た!!」
「お揃い。 モフモフ」
キーホルダーのように取り付けられないので葵はずっと手に持っていた。
私も真似して手に持つ。
「これ加工してもらってキーホルダーに欲しいな」
「あいつらの本物のしっぽをか? お前ら怖いな」
「可愛いは正義」
「なにその怖い正義」
私と葵がウキウキしながら言うと五十嵐にドン引きされた。
それを無視して葵とハイタッチした。
今回は魔石が8個、下級回復薬が9本、羽ウサギの羽10枚、羽ウサギの毛皮が4枚、羽ウサギのしっぽが1つ、そして羽ウサギの肉が5個ドロップした。
「良い稼ぎ場だね」
「下級回復薬ザクザク出るな、あ、レベルどうなった? 俺は……2上がったな」
「私は今回は上がってない」
「私も」
私と葵はレベルが上がらなかった。
やっぱり戦闘貢献度が関係あるのかな? どうやって振り分けてるのか分からないけど。
もう一度見て回ってもう一回魔物狩ってから拠点へ戻った。
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