第13話
更に後日。
お二人はあらためて拝命の挨拶に来た。
その後、私たちは3人でテーブルを囲んでイスに座り、お茶した。久しぶりであった。マガツ国にいた時以来だ。
「もしかして、前の世でエリザベトにお茶を入れてもらったりしてたの?」
私のその一言のために、お二人は大泣き――というか大泣きはゴリねえのみで、チイねえは嗚咽をこらえて、どうにか耐えておった。
どちらにしろ、お二人は会話できないみたいなので、私はこれまで誰にも話さなかったことを、告げることにした。
「お二人の力は必要なのよ。
この乙女ゲームに勝つためには」
お二人は顔を上げた。
チイねえは泣き顔もやっぱり可愛い。ダメね。私の浮気心。
ゴリねえはやっぱりゴリラ。でも、こちらはどちらかというと、というか、かなり私似。ゴリねえと私が似ているから、私がエリザベトにここに呼ばれたとすれば、それはあまりうれしくはないけど。
「そう、やっぱり知らなかったの」
それを聞いているうちに、お二人は泣き顔から
「私は自分の心の中で、乙女ゲームに宣戦布告してたの。絶対に負けないって。そして、今は想うの。これはエリザベトのものでもあるんじゃないかって。
断罪処刑されたその時に、エリザベトは王太子がどういう人間か、ようやく分かったのよ。そして心中、エリザベトは誓ったに違いないわ。何としても私を恥辱に落とし、殺さんとする王太子とヒロインに復讐することを。
ただエリザベトには足りないものがあった。乙女ゲームの知識よ。だから私が呼ばれた。エリザベト自身は、お二人の如くに、そのまま転生する訳には行かなかったのよ。そして、エリザベトと私の誓いはこうなるの。
『何としても私を殺さんとする乙女ゲームの世界に宣戦布告す』
この前、言ったでしょ。私の中にはエリザベトが混じってるって。その私の心はこう想っている。
戦いはこれからだと。まだまだ続くと。いいこと。お二人は、その力を貸してちょうだい。
私の中のエリザベトも力を貸してくれる。それに必要なら、新たな転移者や転生者を呼んでくれるわ。
だって、負けるわけには行かない。殺されるわけには行かないもの。こんなおぞましき乙女ゲームの世界には」
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